半導体製造で1つの大きな変革が起きるかも知れない。米国商務省は、韓国の化学企業であるSKCの子会社Absolics社に、米国CHIPS法に基づき7500万ドルを支給することを発表した。この資金はAbsolicsのガラス半導体基板の開発と生産施設の建設に充てられるとのことだ。
半導体の先端材料向けの初のCHIPS法適用
SKCはメモリ製造で有名なSK hynixと同じ韓国SKグループに属する化学メーカーだ。AbsolicsはそのSKCが80.6%出資する関連会社で、2021年に設立された。SKグループの傘下で最先端の基板を自社製造することは理にかなったものだろう。
Absolicsは12,000平方メートルの施設に2億4,000万ドルの巨額投資を行い、2024年後半にガラス半導体基板の少量生産を開始し、2026年までに大量生産にスケールアップする計画を明らかにしている。この投資は1,000人の建設雇用を創出し、製造および研究開発で200人の雇用を創出すると期待されている。
米国商務省によれば、今回の件は半導体産業向けの新たな先端材料を製造する商業施設へのCHIPS法による初の投資であるとのことだ。
「Biden大統領のCHIPSプログラムの成功の重要な要素は、米国が半導体サプライチェーンのあらゆる部分で世界のリーダーであることを確保することです。Absolicsが取り組んでいる先進的な半導体パッケージ技術は、その目標を達成するのに役立ちます」と、商務長官のGina Raimondo氏は述べている。
ガラス基板は、先端パッケージング技術の普及において極めて重要な役割を果たす。従来の有機材料に依存するガラス基板は、マルチダイ・パッケージング用のダイ間インターコネクト・インターポーザーを容易にするために利用され、優れた平坦性、熱伝導性、機械的安定性を提供する。これにより、最終的には、チップレット密度の向上とフォームファクターの小型化が可能になり、性能向上に繋がる事が期待される。
AbsolicsのCEOであるJun Rok Oh氏は、商務省が発表したプレスリリースの中で、「提案されているCHIPS資金の支援により、Absolicsは、ハイパフォーマンス・コンピューティングや最先端の防衛システムへの応用に向けて、当社の画期的なガラス基板技術を本格的に商業化する態勢が整いました」と述べている。
既にガラス半導体基板については、IntelとSamsungも開発を表明しており、Samsungは最近、当初の計画を加速させることが報告されている。
Appleもガラス基板の未来に目を向けており、既に数社と協議を進めていることが報じられている。
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