AMDは2024年第3四半期の決算発表において、次世代グラフィックスプロセッサー「RDNA 4」アーキテクチャを採用したRadeon GPUを2025年初頭に投入することを正式に発表した。新製品では、ゲーミング性能の向上に加え、レイトレーシング性能の「大幅な向上」と新たなAI機能の搭載が特徴となる。
主要な強化ポイントと発売時期
AMDのLisa Su CEOは決算説明会において、「ゲーミング性能の大幅な向上に加え、RDNA 4は大幅に向上したレイトレーシング性能と新たなAI機能を提供する」と述べ、2025年初頭の発売に向けて開発が予定通り進行していることを明らかにした。
この発表のタイミングは、業界の通常の製品サイクルとはやや異なっている。従来、AMDやNVIDIAは年末商戦期に合わせて新製品を投入してきた経緯があるが、今回は年明けの発売となる。業界観測筋からは、CES 2025での正式発表の可能性が指摘されている。
技術詳細と製品ラインナップ
RDNA 4世代のGPUは、大型チップの「Navi 48」と小型チップの「Navi 44」の2種類が計画されていることが明らかになっている。両チップともに最大20Gbpsの高速GDDR6メモリを採用する予定である。
現時点で判明している製品SKUは以下の通りである:
- ハイエンド向け「Navi 48」
- R24D-E8:フラッグシップモデル
- R24D-E6:上位ミドルレンジモデル
- メインストリーム向け「Navi 44」
- R25D-P8:スタンダードモデル
- R25D-P4:エントリーモデル
新製品群はCES 2025で発表か?
業界関係者からの情報によれば、AMDは2025年1月のCES 2025において、複数の重要製品を同時発表する包括的な戦略を計画している。この統合的な製品発表には以下が含まれる:
- RDNA 4 グラフィックス
- デスクトップおよびモバイル向けの新世代GPU
- AIアクセラレーション機能の詳細発表
- Strix Halo ゲーミングノート向けプラットフォーム
- ハイエンドゲーミングノートPC市場への本格参入
- RDNA 4モバイルGPUとの最適化された統合
- Ryzen Z2 ハンドヘルドゲーミングプロセッサー
- モバイルゲーミング市場強化への取り組み
- Steam Deck等の携帯ゲーミングPC向けの専用設計
AMDの戦略転換と市場での位置づけ
注目すべき点として、AMDは近年、事業戦略の重点をシフトしている。同社の収益に占めるゲーミング部門の割合はわずか2%程度まで低下し、データセンター事業が収益の半分以上を占めるまでに成長している。
Su CEOは、今後10年の目標として「AMDをエンドツーエンドのAIリーダーにすること」を掲げており、RDNA 4におけるAI機能の強化は、この長期戦略の一環として位置づけられる。
Xenospectrum’s Take
RDNA 4の発表は、AMDのグラフィックス事業における転換点となる可能性が高い。特に注目すべきは、従来のFSRやFluid Motion Framesで採用してきた従来型のアップスケーリング手法から、より高度なAI処理への移行を示唆している点である。
NVIDIAのDLSSやIntelのXeSSが専用のAIアクセラレーターを活用している中、AMDが新たに導入するAI機能がどのような形で実装されるかは、市場での競争力を左右する重要な要素となるだろう。また、2025年初頭という発売時期は、IntelのArc BattlemageシリーズやNVIDIAのBlackwell世代との競合を考慮した戦略的な判断と考えられる。
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