AMDの次世代ハイエンドモバイルプロセッサ、Strix Halo APUに関する新たな詳細情報が浮上した。業績好調なAMDが開発中のこのプロセッサは、デスクトップ級の性能をモバイルデバイスにもたらす野心的な試みとして、2025年にASUS ROG Flow Z13に搭載される見込みだ。Strix Halo APUは、最大16コアのZen 5アーキテクチャCPUと大規模なRDNA 3.5 iGPUを組み合わせ、最大120Wの消費電力で動作する、まさに“モンスター”となっている。
デスクトップ級の性能がモバイルにもたらされる
今回の情報は、謎のブロガーからもたらされた。彼の情報は、AMDの内部文書と思われる複数のスライドからなる。そして今回明らかになったのがAMDの次世代モバイルプロセッサ「Strix Halo」だ。
Strix Halo APUの核心は、その革新的なチップレット設計にある。このプロセッサは3つのチップレットで構成されており、2つのZen 5 CCDと1つのGPUダイを含む。
Strix Halo APUの全体的なダイサイズは475.31mm2に達するが、これはAMDの現行のStrix Point APUの約2倍のサイズと、まさに巨大なものだ。この大幅なサイズ増加は、主にRDNA 3.5 iGPUとI/Oコントローラーを含む巨大なIODに起因している。
各Zen 5 CCDは66.345mm2の面積で、8コアを搭載。これにより、合計16コア32スレッドの処理能力を実現している。注目すべきは、最近のリークで明らかになった8コア構成のStrix Haloが5.36 GHzという高クロックで動作する可能性があることだ。
そして、先述したとおり、特筆すべきは、iGPUダイのサイズと性能だ。ダイサイズは307mm2と巨大なものであり、最大40基のRDNA 3.5コンピュートユニットが搭載される。これは単体のディスクリートGPUに匹敵するサイズであり、統合グラフィックスの概念を根本から覆す可能性がある。実際、このiGPUはNVIDIA GeForce RTX 4070(GN21)チップ並みの性能を誇るとされており、高性能なモバイルディスクリートGPUに匹敵する性能を持つ可能性が示唆されている。
メモリサポートも印象的だ。Strix Halo APUは256ビットのLPDDR5Xメモリコントローラーを備え、最大8533 MT/sの速度をサポートする。これにより、273 GB/sというピークバンド幅を実現し、高性能なグラフィックス処理に必要な帯域を確保している。メモリ構成は32GBから最大128GBまでサポートされ、SO-DIMMとLPDDR5Xの両方のタイプに対応する。
消費電力に関しては、55W、85W、120Wの3つの構成が確認されている。最大構成では、Zen 5 CCDが各15W(合計30W)、iGPUを含むIODが72W、SO-DIMMメモリが13Wの消費電力となる。これらを合計すると、メモリを含めて最大115Wの消費電力となる。
さらに、Strix Halo APUにはAI処理用のXDNA 2エンジンが統合されており、最大60 AI TOPSの性能を発揮するとされている。また、16レーンのPCIe Gen4インターフェースも備えている。
この革新的なチップセットは、ASUS ROG Flow Z13(2025)などの次世代ゲーミングデバイスに搭載されると見られている。ASUSは、1.3mmの厚さを持つベイパーチャンバーや2000 RPMまで回転する2つの冷却ファンなど、高度な冷却ソリューションを開発している。これにより、13インチのタブレット/ラップトップハイブリッド設計でStrix Halo APUを最大120Wで動作させることが可能になるという。
ASUSの冷却設計は、単に性能を引き出すだけでなく、ユーザーエクスペリエンスも考慮している。高負荷時のバッテリー温度を41°C以下に抑え、タッチスクリーンの表面温度を48°C以下、底面温度を50°C以下に維持することを目指している。同時に、ノイズレベルを45 dBA以下に抑える努力もなされている。
Strix Halo APUは、2025年に他のZen 5モバイル製品(Fire RangeやKrackan Pointなど)とともに発売される予定だ。これらの製品は、ノートPC、タブレット、ハンドヘルド、ミニPCなど、さまざまなフォームファクターに搭載されることが期待されている。
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