防衛テクノロジー企業のAnduril Industriesは、オハイオ州コロンバスに同社初となる大規模製造施設「Arsenal-1」を建設すると発表した。総床面積46万平方メートルに及ぶ同施設は、年間数万台規模の自律型軍事システムの生産を目指す。投資額は約10億ドルに達し、2035年までに4,000人の新規雇用を創出する見込みである。
次世代の防衛産業製造拠点
Arsenal-1は、従来の防衛産業の製造概念を一新する施設として位置付けられている。Andurilの CEO Brian Schimpf氏は「Arsenal-1は、我が国と同盟国が安全保障を維持するために必要な自律システムと兵器の製造方法における一歩前進を表している」と述べている。
特筆すべきは、同施設が採用する「Arsenal OS」と呼ばれるソフトウェア駆動型の製造プラットフォームだ。この システムにより、設計、開発、生産の各段階が統合され、需要の変化や新製品の投入に柔軟に対応できる生産体制を実現する。同社は、人員、資本、機械設備、材料といった重要な製造リソースを、需要に応じて効率的に再配分できる体制を構築する方針だ。
戦略的立地の選択
Arsenal-1の建設地として選ばれたのは、リッケンバッカー国際空港に隣接する敷地である。この立地は、2本の3,658メートル級の滑走路と30万平方メートルの専用エプロンへのアクセスを確保し、軍事規模の航空機による部品や完成品の迅速な輸送を可能にする。
さらに、オハイオ州には ライト・パターソン空軍基地、空軍研究所(Air Force Research Laboratory)、NASAのグレン研究センターなど、重要な航空宇宙関連施設が集積している。Mike DeWineオハイオ州知事は「オハイオ州は航空、航空宇宙、国防の分野で先見的な力を持ち続けている」と述べ、同州の航空宇宙産業における歴史的な強みを強調している。
地域経済への影響と将来展望
Arsenal-1プロジェクトは、オハイオ州の経済に大きな影響をもたらすことが期待されている。同施設は、州のGDPに約10億ドル、税収に約8億ドルの貢献が見込まれている。また、建設予定地には500エーカー以上の拡張用地が確保されており、将来の成長に対応可能な余地を残している。
建設は必要な認可取得後直ちに開始され、2026年7月には最初の製品の生産が開始される計画だ。この施設は、Andurilが世界各地で展開する生産拠点網の重要な一角を担うことになる。同社は既に、ミシシッピ州のロケットモーター工場、ロードアイランド州の無人潜水艇施設、ジョージア州の発射効果工場、オーストラリアのXL-AUV工場など、複数の専門施設を運営している。
Source
- Anduril Industries: Anduril Building Arsenal-1 Hyperscale Manufacturing Facility in Ohio
Meta Description
Anduril Industriesがオハイオ州に46万平方メートルの自律型兵器製造拠点「Arsenal-1」を建設。10億ドル規模の投資で、年間数万台の生産能力と4,000人の雇用を創出。次世代の防衛産業製造拠点として注目を集める。
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