GoogleのChromeは、機能の肥大化により一部では“重くなった”と言われることもあるかも知れないが、それでも最速のブラウザである事には変わりがないようだ。今回Chromeの最新版が、Webブラウザの性能を測定するオープンソースの業界標準ベンチマークツールである「Speedometer 3.0」で史上最高スコアを達成したことが明らかになった。
Chromeは2年の間にパフォーマンスを7割も向上させていた
今年の3月、Google、Mozilla、Microsoft、Intel、Appleなど、業界全体の協力により開発された「Speedometer 3.0」ベンチマークが登場した。
Speedometer 3.0は基本的に、モダンなWebアプリの応答性や、どれだけうまく処理できるかをテストするもので、To-Doリストにアイテムを追加したりテキストを編集したりといった実際のユーザー行動をシミュレートしてブラウザの応答性を確認する。これらのタスクを非常に高速で繰り返し実行することで、ベンチマークは性能を測定し、各ブラウザの能力を明確に示す。Google、Mozilla、Microsoft、Intel、Appleといったブラウザ市場の主要開発者による共同開発ということで、業界標準のベンチマークテストと認知され、公平な比較が出来る物とされている。
Googleは今回Speedometer 3.0のテストのため、いくつかの最適化に注力した。「Speedometerの作業負荷やChromeが最も時間を費やしている機能を調べることで、その機能に対するターゲットを絞った最適化を行い、それぞれがChromeのスコア向上に寄与した」と同社は述べている。
エンジニアたちはリソースを消費していた「SpaceSplitString」などの機能を詳細に調査し、文字列処理やスタイルシートの重複排除などの操作を効率化した。また、フォーム要素などを描画する際の余分なメモリ使用量を抑えるためにレンダリングを微調整した。Googleはさらに、HarfBuzzテキストシェーピングエンジンのメンテナと協力して、AppleのAATフォント形式のレンダリングを改善した。さらに、「コードの階層化」というプロセスにも注力し、最適化されたエンジンを選択することでさらに改善を図った。同時に、ガベージコレクションの改善により、Speedometerスコアが約3%向上したとのことだ。
Googleによれば、Chromeのバージョン101からChrome 127に至るまで、このほぼ2年間の間に72%の性能向上があったとのことだ。
もちろん、スピードは優れたブラウザ体験を構成する要素の一つに過ぎず、純粋なベンチマーク結果はその魅力の一部しか伝える物ではない。そもそも、ほとんどのブラウザがChromiumをベースにしているため、性能差は以前ほど大きくない。しかし、ブラウザメーカーはそれでもスピードを高めることにしのぎを削っている。
Source
- Chromium Blog: How Chrome achieved the highest score ever on Speedometer 3
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