中国の新興メモリメーカーChangXin Memory Technologies(CXMT)が製造を開始したDDR5メモリチップについて、その物理的な特性が明らかになった。最新の分析によると、同社の16Gb DDR5チップのダイサイズは、競合するSamsung製品と比較して約40%大きく、製造コストと技術格差の課題が浮き彫りとなっている。
技術スペックの詳細比較
CXMTの16Gb DDR5メモリチップは8.25mm×8.25mmのダイサイズを持ち、総面積は68.06平方ミリメートルに達する。一方、Samsungの同容量チップは6.46mm×7.57mmで、面積は48.90平方ミリメートルにとどまる。この差は製造プロセス技術の世代間ギャップを見せつける物と言えるだろう。
CXMT 16 Gb DDR5 die | Samsung 16 Gb DDR5 die | |
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ダイ面積 | 68.06 mm^2 | 48.90 mm^2 |
寸法 | 8.25 × 8.25 mm | 6.46 × 7.57 mm |
特筆すべきは、CXMTのチップサイズが、2021年時点でMicron、Samsung、SK hynixが量産を開始した第一世代DDR5チップ(66.26〜72.21平方ミリメートル)に近い値を示していることである。これは、中国企業の製造技術が主要メーカーに対して4〜5年の遅れがあることを示唆している。
CXMTメモリの大きなダイサイズは、製造コストの上昇に直結する重要な要因となる。CXMTは性能面でDDR5-6000規格のメモリモジュールを実現しているものの、電力効率やコスト効率の面では依然として主要メーカーに後れを取っている。
この状況下で注目されるのは、CXMTが市場シェア獲得のために採用する価格戦略だ。製造コストの不利を考慮すると、競争力のある価格設定には相当な企業努力が必要となることが予想される。
Xenospectrum’s Take
今回の調査結果は中国半導体産業の「追いつき戦略」の現状を明らかにした事例といえる。技術的には確かに遅れを取っているものの、DDR5-6000という決して低くない性能水準を実現している点は、中国企業の技術吸収力の高さを示している。
しかし、半導体製造における「規模の経済」の壁は極めて高い。大手メーカーは既に次世代プロセスへの移行を進めており、製造コストの格差は今後さらに拡大する可能性が高い。CXMTの真価が問われるのは、このコスト上のハンディキャップをいかに克服するかという点だろう。皮肉なことに、技術的キャッチアップを果たす頃には、市場は既にDDR6の時代に移行しているかもしれない。
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