米国初の小型モジュール式原子力発電所の建設を計画していたNuScale Power CorporationとUtah Associated Municipal Power Systems(UAMPS)は本日、建設プロジェクトを終了することで相互に合意したと発表した。
カーボン・フリー・パワー・プロジェクト(CFPP)として知られていたこのプロジェクトについて、両者はプロジェクトの進展のため多大な努力を払ってきたが、プロジェクトの進行に十分な支持が得られる可能性は低く、その結果、NuScaleとUAMPSは、プロジェクトの終了が両者にとって最も賢明な選択であることに合意した。
「UAMPSとの取り組みと米国エネルギー省との提携を通じて、私たちはNuScaleパワーモジュールを、規制当局の認可を取得し、活発に生産されている実績のある小型モジュール炉(SMR)技術に、電力会社、政府、産業界が信頼を寄せることができるまでに進歩させました。過去10年間にわたるCFPPとの取り組みにより、NuScaleの技術は商業展開の段階まで進みました。NuScaleは、他の国内外の顧客とともに、当社の米国産SMR技術を市場に投入し、米国の原子力製造基盤を成長させ、米国全土に雇用を創出していきます。この進歩を可能にしたUAMPSの協力に感謝します」と、NuScaleの社長兼最高経営責任者(CEO)のJohn Hopkins氏は述べている。
原子力発電は、二酸化炭素をほとんど排出しないエネルギーを提供し、気候変動への対応に重要な役割を果たすことができる。しかし、ほとんどの先進国では、原子力発電所への予算は莫大な物で、反対の声も根強く、実現には時間がかかる。
この状況を変える一つの希望は、小型モジュール式原子炉の使用であった。小型モジュール式原子炉は、コスト削減のためにいくつかの手段を講じている。サイズが小さいため、電源喪失時に受動的な冷却システムを引き継ぐことが容易になる(設計によっては、原子炉を単に池の中に入れておくものもある)。また、主要なコンポーネントを中央の施設で製造し、その後さまざまなプラントサイトに輸送することができるため、原子炉を使用するすべてのサイトで製造装置の多くを再利用することができる。
米国は昨年8月、NuScaleが開発した小型モジュール式原子炉の単一設計を承認した。政府のアイダホ国立研究所は、NuScale社の最初の設備であるCFPPの建設支援に取り組んでいた。この計画では、国立研究所が最初の原子炉のうち数基を敷地内で維持管理し、近隣の電力会社が残りの原子炉から電力を購入するはずだった。しかし、自然エネルギーの価格が急落しているため、プロジェクトの経済性は悪化し、後援者はプロジェクトから撤退し始めていた。
だが、今回のCFPPの中止の知らせは、この流れを後退させる物となる。
NuScale社としては10年以内に商業用原子炉を建設する計画を持っているが、CFPP程前進したプロジェクトはなく、今後の需要も不透明である。
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