以前から、OpenAIのCEO Sam Altman氏と元Appleのチーフ・デザイナーであったJony Ive氏が共同でAIハードウェアを開発中だと伝えられているが、Emerson CollectiveやThrive Capitalと言った大手ベンチャーキャピタルと資金調達の交渉を行っている事が、The Informationによって報じられている。
Altman氏らによるこのスタートアップの詳細は不明だが、The Informationによると最大で10億ドルの資金を求めていると伝えられている。Emerson Collectiveは既にOpenAIに投資しており、有望な資金調達先となり得る。なお、以前報じられたSoftBankの関与が今も続いているのかは不明だ。
この報道で興味深い点は、このスタートアップが開発しようとしているAIハードウェアがおよそ“電話には見えない”としている点だ。これは、2人の情報筋の話として引用されている物だが、彼らの話では、この電話とは異なる形式のデバイスは、「主に音声対話を通じて自然で直感的なユーザー体験を提供する」とのことだ。
AIハードウェアとして想起されるのは、少し前に登場したrabbitの「rabbit r1」やHumaneの「AI Pin」のようなデバイスだろう。どちらもまた電話には見えないデバイスであり、音声による対話に主軸を置き、詳細なWeb検索やチケット予約など、質問に答える以上のタスクを実行できるパーソナルアシスタントのようなアクション駆動型の言語モデルを使用している。
現在のOpenAIとAltman氏の知名度を鑑みれば、同様なデバイスを、より洗練された形で提供すれば、先行するHumaneらよりも成功する可能性もあるだろう。とはいえ、Ive氏とAltman氏の開発するデバイスがこれらの二番煎じにならず、更なる付加価値を提供し、真に画期的である事を期待したいところだ。この試みが成功すれば、音声アシスタントを備えたAI搭載デバイスの開発競争において、Meta、Google、Appleといった競合他社に対するOpenAIの立場を強化できるだろう。
懐疑的な投資家の中には、実績のない製品カテゴリーに対してこの初期段階で高い評価を下すことに警戒感を示す者もいる。OpenAIがAltman氏とIve氏のハードウェアスタートアップに出資するかどうかは不明だ。
Altman氏は、OpenAIのCEOとしての仕事を補完する他のサイドプロジェクトも進めており、その中には、NVIDIAと競合する可能性のあるAIトレーニング・推論チップを開発・製造するネットワークも含まれている。だが、これら巨大すぎるAltman氏の野望に対しては、一部で批判的な声も上がっているようだ。
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