G.Skillは、Intel Core Ultra 200プロセッサーとZ890チップセットマザーボード向けに開発された新型メモリモジュール「Trident Z5 CK」シリーズを発表した。標準でDDR5-9600の動作速度を実現し、特定の条件下では空冷でDDR5-10000までの動作が可能であることが確認されている。
革新的なCUDIMM技術を採用
Trident Z5 CKシリーズの核心となるのは、新たに採用されたCUDIMM(Clock driver-integrated UDIMM)技術だ。従来のメモリモジュールとは異なり、クロックドライバーチップを基板上に直接統合することで、メモリICとCPU間の信号品質を大幅に向上させている。この革新的なアプローチにより、従来では不可能とされていた超高速での安定動作を実現した。
特筆すべきは、DDR5-9600という驚異的な速度を実現しながら、BIOSでの複雑な設定を必要としない点である。対応するZ890マザーボードに装着するだけで、Intel XMP 3.0プロファイルを通じて自動的に最適な設定が適用される。
G.Skillは、Trident Z5 CKシリーズに48GB(24GB×2)という現代のハイエンドPCに最適な容量を採用。DDR5-9000動作時には、CL42-56-56-144というタイミング設定を実現している。
外観デザインにも妥協はない。ブラックミラー仕上げのヒートスプレッダーは、高い冷却性能と美しさを両立。RGB搭載モデルには半透明の光拡散バーを、スタンダードモデルにはピアノブラック仕上げのトップバーを採用し、どちらもハイエンドPCに相応しい存在感を放っている。
G.Skillの研究開発チームは、さらなる高みを目指した検証も実施している。ASUS ROG Maximus Z890 ApexおよびASRock Z890 Taichi OCFマザーボードを使用した実験では、空冷環境下でDDR5-10000動作の安定性をMemtestとAIDA64ベンチマークで確認。これは、メモリ技術における新たな地平を切り開く成果といえる。
ただし、この極限的なパフォーマンスを引き出すには、いくつかの条件がある。Intel Core Ultra 200 CPUは単体でのメモリ対応がCUDIMMでDDR5-6400、標準DIMMでDDR5-5600までとなっており、DDR5-9600以上の動作には対応マザーボードが必須となる。また、現時点ではAMD EXPOには対応していないため、Ryzen 9000シリーズCPUとの組み合わせはできない。
製品仕様と対応環境
- 容量:48GB(24GB×2)
- 標準動作速度:DDR5-9000(CL42-56-56-144)
- 対応プラットフォーム:Intel Z890チップセット搭載マザーボード
- 冷却方式:空冷
- カラーバリエーション:標準モデル/RGBモデル
Xenospectrum’s Take
今回のG.SkillによるDDR5-9600 CUDIMMの発表は、デスクトップPCのメモリ性能における新たなマイルストーンと言える。特筆すべきは、ASUS ROG Maximus Z890 ApexやASRock Z890 Taichi OCFといった特定のマザーボードで、空冷環境下でもDDR5-10000の動作が確認されている点である。これは、メモリ技術の進化が依然として加速度的に進んでいることを示している。
ただし、この高速なメモリを最大限活用するには、対応するマザーボードとCPUの組み合わせが必須であり、プラットフォームの選択には注意が必要である。また、実際の使用環境での安定性や、この極限的な速度がもたらす実用的なパフォーマンス向上については、今後のレビューや検証結果を待つ必要があるだろう。
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