Googleが新たにリリースしたAndroid 15が、ついに真の可変リフレッシュレート(Variable Refresh Rate、以下VRR)をサポートした。これにより、スマートフォンが画面内容に応じて柔軟にリフレッシュレートを調整できるようになり、バッテリー効率と表示性能が大幅に向上することが期待される。
Android 15で実現した真の可変リフレッシュレートの仕組み
これまで、Android端末は複数の固定リフレッシュレート(例えば60Hzや90Hz)をサポートしていたが、これらは真の意味でのVRRではなく、異なる表示モード間を切り替えることで対応していた。しかし、Android 15では、「Adaptive Refresh Rate(ARR)」と呼ばれる新技術が実装され、ひとつの表示モード内でフレームレートに応じたリフレッシュレートの自動調整が可能になった。
この技術により、リフレッシュレートの切り替えが滑らかになることで「画面のカクつき」が軽減され、不要な電力消費も削減される。また、従来はメーカーごとに独自のカーネルレベルで対応していたが、Android 15では「Hardware Composer(HWC)HALバージョン3」を利用することで、OSがリフレッシュレートをより最適化した形で制御できるようになったようだ。
実用的な効果と課題
Android 15のVRR導入により、特にビデオ再生などでの低リフレッシュレートの活用が期待される。例えば、多くのAndroidデバイスは映画再生時でも60Hzで動作していたが、新しいVRRにより24Hzや30Hzといったより低いリフレッシュレートを実現できる可能性がある。これにより、視覚的な一貫性が向上するとともに、バッテリー消費も抑えられる。
一方で、PCゲームで見られるようなフレームレート同期機能は依然として難しい。Googleのドキュメントによれば、Android 15のARRはあくまでパネルの「ティアリング効果(TE)」の約数でのみ調整可能であり、PC向けのG-SyncやFreeSyncのような動的フレームレート同期は提供されないようだ。
デバイス対応状況と導入における障壁
すべてのAndroidデバイスがこの新機能に対応するわけではない。例えば、Google Pixel 7以降のPixelシリーズやQualcomm Snapdragon 8 Elite搭載端末は、HWC HALバージョン3に対応しているが、それ以前のデバイスは対応していない。また、Googleの「Google Requirements Freeze(GRF)」の影響により、OTAアップデートを受けてもこの機能が有効化されない可能性がある。
Xenospectrum’s Take
Android 15が真のVRRをサポートしたことは、特にバッテリー持続時間の改善に貢献する重要な一歩と言える。ハードウェアの進化と相まって、表示の滑らかさと省電力化のバランスが取れた表示性能が実現されるだろう。ただし、PC並みのゲーム同期には至らず、今後のアップデートが必要であることも課題と言える。メーカーごとに異なる実装が不要になった点は、将来的な普及と互換性の向上に貢献するが、利用者がVRRの恩恵をフルに受けるには、対応デバイスやディスプレイハードウェアの要件をクリアする必要がある点には注意が必要だ。
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