学生や研究者にとって強力なツールが日本でも利用可能になった。GoogleのAIを利用したリサーチツール「NotebookLM」がGemini 1.5 Proによりパワーアップを果たした上で、日本を含む200カ国で提供開始されたのだ。
クローズドなシステムの中で自分だけのソースに基づいたAI操作が行える
NotebookLMはGoogleの実験的なAIツールであり、これまで米国のみで提供されていた物だ。
一般的なAIチャットボットとは異なり、ユーザーが与えたリソースに基づいた学習を行ってくれることで、ユーザーはそのリソースに関してAIに質問を行ったり、要約を作成したりと言った操作を行う事が可能になる。ソースをあらかじめ指定することで、AIによるハルシネーションのリスクを軽減することも可能だ(完璧に封じ込めることは出来ないが)
アップロードできるソースとしては、Google Drive、PDF、テキスト ファイル、コピーしたテキスト、または Web サイトが可能だ。Google DriveからはGoogleスライドなども指定できる。ソースを指定すると、AIはこれを元に学習を行い、ユーザーは必要な情報を検索したり、メモを作成したり、ソースに基づいて表を作成したりと言ったいくつもの操作が可能になるのだ。
Googleは情報の正確さを確認する一助となるように、インライン引用を追加している。これにより、ソースの裏付けとなる文章を見たり、AIが生成した回答の事実確認をしたり、より多くの文脈のために原文を読んだりすることが容易になるだろう。これまでは、引用はアシスタントが生成した回答の下に表示されていた。
また、FAQ、説明文書、学習ガイドなど、コンテンツをさまざまな形式に変換するのに役立つノートブックガイドも付属している。例として、論文のPDFをソースとして入力し、ノートブックガイドを表示すると以下の様に論文の操作に役立つ生成メニューが表示される。
それぞれの生成メニューをクリックするだけで、あらかじめ用意されたFAQなどの生成が可能になるのだ。
これら、NotebookLMにユーザーがアップしたソースデータはGoogleのアルゴリズムのトレーニングには一切使用されないということで、ある程度機密性の高い文書でも用いることが可能だろう。「特に、仕事や学校の書類と一緒に使いたいという質問が多いですね。あなたのデータは全て非公開です」と、Google LabsのAI担当シニア・プロダクト・マネージャーであるRaiza Martin氏はTechCrunchのインタビューで述べている。
また、今回特に注目すべきは、NotebookLMに用いられるAIモデルがGemini 1.5 Proにアップデートされたことだろう。このモデルは無料版Geminiではまだ利用できない物であり、利用するためには有料のGemini Advancedサブスクリプションプランへの加入が必要だ。それが無料で利用できるというのは大きいだろう。Gemini 1.5 ProはGoogleの最新マルチモーダルAIモデルであり、100万トークンのコンテキストウィンドウを持ち、画像などの入力も受け付けてくれる。
Gemini 1.5 Proの巨大なコンテキスト・ウィンドウを処理できる能力によって、NotebookLMはノートブック1冊につきサポートできるソースの数が、これまでの5個から、50個までと10倍に増えている。また、ソースドキュメントはそれぞれに50万語のサポートが可能だ。つまり、フルに活用すれば、2,500万語もの膨大なソースを活用でき、FAQやレッスンプランの作成に利用することが出来ることになるのだ。またマルチモーダルAIモデルと言うことで、チャートや図表、画像についての質問を行う事も可能になった。
NotebookLMの利用地域には日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、英国、その他208の国と地域が含まれている。Googleはまた、AI支援アプリのインターフェース言語サポートを、アラビア語、アッサム語、ベンガル語、広東語、中国語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、ヒングリッシュを含む108言語に拡大した。また、アラビア語、ベンガル語、中国語(簡体字・繁体字)、オランダ語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、日本語、スペイン語など38言語のソースとチャットもサポートしている。
NotebookLMは、Webサイトにアクセスすればすぐに使い始めることが可能だ。Webサイトで新しいノートを作ると、すぐにコンテンツをアップロードするよう求められる。初めて使う場合は少し戸惑うかもしれないが、しばらく操作してみればすぐにコツをつかめるだろう。
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