日本経済新聞の調査によると、Googleの最新フラグシップスマートフォンPixel 9 Proの製造原価(部材費)が約406ドルであることが判明した。これはAppleのiPhone 16 Proの製造原価である568ドルと比較して約29%低い水準となっている。両機種とも小売価格は999ドルに設定されているが、製造コストに大きな開きがあることが明らかとなった。
Pixel 9 Proの製造コスト内訳
Pixel 9 Proの製造原価の内訳を見ると、最も高額な部品は同社独自開発のTensor G4チップセットで80ドルとなっている。次いでSamsung製のM14ディスプレイパネルが75ドル、カメラ関連部品が61ドルとなっている。特筆すべき点として、前世代のPixel 8 Proと比較して全体の製造原価が11%低減されていることが挙げられる。ただし、Pixel 9 ProはPixel 8 Proの直接の後継機種ではなく、より小型のディスプレイとバッテリーを採用した新モデルであるため、単純な比較は難しい面がある。真の意味での世代間比較には、Pixel 9 Pro XLとPixel 8 Proを比較する必要があるとされている。
iPhone 16 Proとのコスト比較分析
一方、iPhone 16 Proの製造原価の内訳を見ると、Apple独自開発のA18 Proチップセットが135ドル、M14ディスプレイが110ドル、カメラ関連部品が91ドルとなっている。各主要部品において、iPhone 16 ProはPixel 9 Proよりも高額な部品を採用していることが分かる。特にプロセッサーの価格差が顕著であり、GoogleのTensor G4(80ドル)に対してA18 Proは約1.7倍のコストとなっている。なお、参考値として2025年のAndroidフラグシップスマートフォンに搭載予定のQualcomm Snapdragon 8 Eliteは約200ドルと報告されており、これは両社の独自チップを大きく上回る価格設定となっている。
ビジネスモデルとコスト戦略の違い
製造原価の差は、両社のビジネス戦略の違いを浮き彫りにしている。同じ999ドルの小売価格設定ながら、Googleは比較的低コストでの製造を実現し、頻繁な割引販促(Google Oneメンバーへの150ドル割引や、Play Pointsメンバーへの30%割引など)を展開している。一方、Appleは高額な部品を採用しながらも、めったに割引を行わない販売戦略を取っている。ただし、これらの製造原価は部材費のみを反映したものであり、研究開発費、マーケティング費用、物流費用、その他の事業運営コストは含まれていないことに注意が必要である。製造原価の違いは、両社の異なるアプローチを示す一つの指標に過ぎず、最終的な収益性を直接的に示すものではないとされている。
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