Googleは、2025年に発売する新型Pixelに搭載する計画でフルカスタムのTensor SoC(Tensor G5)を開発しており、これに合わせて、ファウンドリーパートナーを現在のSamsungから、TSMCに切り替える計画であることが、The Informationによって報じられている。The Informationによると、GoogleはTensor G5で3nmプロセスに移行すると言われており、この3nmプロセスは、QualcommやMediaTekなど、Android向けSoCを供給している企業が近い将来フラッグシップSoCで採用する最先端技術と同等の物となり、これまでのTensor SoCから大幅な進化が予想される。
Samsungとの決別
現在、GoogleはTensor SoCの製造委託だけでなく、設計もSamsungに依存している。と言うのも、同社のTensorシリーズのチップセットは、SamsungのExynosシリーズを少し改良したものだからだ。だがこれまでのベンチマークが示すように、Tensor SoCはパフォーマンスや電力効率においてあまりパッとせず、GoogleとしてはAI性能に重点を置いて開発を行っているようだが、今後は他社も同様にAI機能に重点を置くとみられており、この点での差別化による優位性は以前ほどには保てなくなる可能性がある。
Googleの計画に詳しい関係者によると、Tensor G5はTSMCの3nmプロセスで量産されるだけでなく、エネルギー効率の向上と薄型化を実現するIntegrated Fan-Out技術もサポートされるという。ただし、The Informationは、GoogleがどのTSMCの3nmプロセスに切り替えるかについては詳しく触れていない。TSMCの3nmプロセスと言えば、Appleが既に3nmウェハーの90%を確保したと報じられているが、それは最初の提供版であるN3Bプロセス用であり、恐らくこれを利用する事はないだろう。
Tensor G5は2025年に発売されると言われていることから、GoogleはN3Bプロセスを少し改良し、密度を下げ、歩留まりを向上させ、製造コストを下げたTSMCの「N3E」テクノロジーを採用すると推測できる。完全なカスタム設計と言う事で、次期Tensor G5は、SamsungのExynos依存から脱却し、独自のGoogle製CPUとGPUを搭載することになり、GoogleはAppleのiPhoneエコシステムのように、ハードウェアとAndroidプラットフォームとの連携をより詳細に制御できるようになる。
GoogleがSamsungから移行する理由に関しては不明だが、TSMCのファウンドリーは歩留まりや性能面でSamsungよりはるかに優れており、他社も続々SamsungからTSMCのに流れていることからも同様の理由である可能性が高そうだ。
TSMCの3nmプロセスに移行することで、GoogleはPixelスマートフォンだけでなく、Chromebook、タブレット、スマートスピーカーなど、さまざまな製品向けにTensorチップを設計できるようになる。Appleのように、完全なカスタムチップセットを持つことで、複数の製品をソフトウェアレベルで統合することができ、GoogleはAppleと同様のエコシステムを構築するための強力な基盤を得ることができるだろう。
Source
- The Information: Inside Google’s Efforts to Develop Custom Chip for Pixel
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