Intelが開発を進める次世代ディスクリートGPU「Arc Battlemage」シリーズが12月にも発売される可能性が浮上した。信頼性の高いリーカーとして知られるGolden Pig Upgradeが、デスクトップ向けBattlemageについて「素晴らしいパフォーマンス」を示唆する情報を公開した。この発売時期は、競合するAMDのRDNA 4やNVIDIAのBlackwellシリーズに先駆けることになる。
驚異的な動作クロックが示す技術進化
IntelのArc Battlemageシリーズに関してはこれまでリーク情報がほとんどなく、同社の最近の置かれた状況を見て、開発が中止されたのではないかとの噂も流れていた。だが、今回のGolden Pig Upgrade氏のリークが正確ならば、同社はリークを封じ込め、発売にこぎ着けたことになる。
以前から明らかになっているいくつかの情報から、Battlemageシリーズは、BMG-G10、BMG-21、BMG-31の3つのGPUで構成される見込みだ。最上位のBMG-G10は一般消費者向けには投入されない可能性が高く、Intelはエントリーからミッドレンジ市場に焦点を当てていることようだ。つまり、リーカーの「素晴らしいパフォーマンス」というのは、NVIDIAのRTX 4090等と比較した物ではなく、RTX 4060等と比較した場合と考えるの自然だろう。現行のArc A770がGeForce RTX 3060相当の性能を持つことを考えると、新世代での大幅な性能向上が期待できる。
上述したように、Battlemageの詳細はほとんど明らかになっていないが、その真価を物語る重要な技術的特徴が、9月にGeekbenchで発見されたBMG-G21チップだ。12GBのVRAMを搭載するこのモデルは、ブーストクロックで2,850MHzという驚異的な数値を記録している。これはGPUとしては異例の高クロック周波数であり、Intelの第2世代GPUアーキテクチャにおける技術的ブレークスルーを示唆する物と言えるかもしれない。
年末商戦を見据えた戦略的タイミング
市場投入の時期選定には、Intelの綿密な戦略が垣間見える。ブラックフライデー(11月29日)前後での発売を示唆する情報もあり、年末商戦での存在感確保を目指していると考えられる。これはAMDとNVIDIAが2025年1月のCES以降の発売を予定していることを考えると、極めて戦略的な判断だ。
特筆すべきは、この動きがIntel全体の事業戦略の中で持つ意味だ。Pat Gelsinger CEOは2024年第3四半期の決算発表で、ディスクリートGPU市場の需要に慎重な見方を示していた。統合型GPUソリューションへの注力を示唆する中での今回の動きは、同社がディスクリートGPU事業に対して依然として強いコミットメントを持っていることを示す物と言えるだろう。
Xenospectrum’s Take
Intelの戦略は興味深い展開を見せている。AMDが同様にメインストリーム市場を重視する中、年末商戦期に先行して製品を投入することで市場の反応を確認できる。また、2,850MHzという高クロック値は、Intelが第2世代アーキテクチャで大幅な性能向上を実現できた可能性を示唆する。
ただし、成功の鍵を握るのはドライバーの完成度だ。初代Arc Alchemistでの経験を活かし、ドライバー品質の向上に注力している事を期待したいところだ。
価格設定と実際のパフォーマンスが適切なバランスを取れれば、ある程度の成功を収めることが出来るかも知れない。だが、これが失敗した場合、恐らく次はないだろう。
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