馬頭星雲ほど象徴的な宇宙画像はない。その形からすぐにそれとわかる。何十年もの間、多くの望遠鏡が馬頭星雲の姿をとらえ、望遠鏡の威力を試すテストケースのようになってきた。
しかし、JWSTはそのすべてに勝っている。
馬頭星雲は約1300光年離れたオリオン座にある。もっと大きなオリオン分子雲群の一部だ。馬頭星雲は、拡大画像ではオリオン座のベルトの3つの星の近くに見える。
先頭の画像は、JWSTが馬頭星雲を他の2つの画像とともに捉えたもの。ユークリッドの画像は2023年11月に撮影された。ユークリッドは広角600メガピクセルのカメラを搭載し、銀河の赤方偏移と暗黒エネルギーによる宇宙の膨張を測定することを主な仕事としている。ユークリッドがこの画像を撮影するのに要した時間は約1時間で、非常に詳細な画像を素早く収集する望遠鏡の能力を示している。
ハッブルは2013年にこの画像を撮影し、望遠鏡の23周年記念画像として公開された。老舗のハッブル望遠鏡は、塵に隠された構造を明らかにするのが得意だ。ハッブルについては、すでに語られていないことは何もない。ハッブル望遠鏡は、望遠鏡の中では尊敬を集める長老であり、もしあなたがハッブル望遠鏡やその科学への貢献、そしてハッブル望遠鏡の責任者たちに対して敬意を感じないのであれば、あなたはひどい倦怠感に襲われているのかもしれない。
3つ目の画像は、JWSTのNIRCam装置による新しい画像だ。これまで撮影された中で最もシャープなホースヘッドの画像と言われている。この象徴的な星雲のごく一部を、私たちが普段見ることのできない細部まで映し出している。JWSTは非常に強力で、背景の銀河さえも映し出している。
馬頭星雲は恒星の浸食の結果である。星雲自体は物質の雲が崩壊してできたもので、Sigma Orionisという近くの高温の星がその構造を照らしている。星雲は周囲のガスよりも密度が高く、恒星の散逸エネルギーに抵抗している。
馬頭星雲はこれで見納めではない。巨大マゼラン望遠鏡やヨーロッパ超大型望遠鏡のような、新しい強力な望遠鏡が近々オンラインになる予定だ。驚かされる準備をしよう。
急ぐ必要はない。天文学者によれば、馬頭星雲もいずれ浸食されるが、あと500万年ほどはかからないという。
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この記事は、EVAN GOUGH氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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