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京都大学が世界初の木造人工衛星の打ち上げに成功

Y Kobayashi

2024年11月8日

宇宙デブリ(1957年以来打ち上げられたロケット段、衛星、その他の軌道上の物体の破片で構成される)は、増大する懸念となっている。ESA Space Debris Officeによると、低軌道上には直径10cm(3.9インチ)以上の物体が約40,500個、直径1〜10cm(0.39〜3.9インチ)の物体が110万個、直径1mm〜1cm(0.039〜0.39インチ)の物体が1億3,000万個存在する。この状況は、商業宇宙企業が研究、通信、ブロードバンドインターネットサービス用の「メガコンステレーション」衛星の展開を続けるにつれて、悪化すると予測されている。

この状況に対処するため、University of Kyotoの研究者たちが世界初の木製衛星を開発した。この小型衛星(LingoSat)は、電子部品を除いてモクレンの木材で製造されている。京都大学の有人宇宙学研究センターが11月5日火曜日に発表した声明によると、この木製衛星はNASAのKennedy Space CenterからSpaceX Falcon 9ロケットで打ち上げられ、軌道投入に成功した。計画されているシリーズの第一号となるこの衛星は、宇宙デブリを軽減し、「ケスラーシンドローム」として知られる現象を防ぐことを目的としている。

京都大学が試作した木製人工衛星の宇宙空間でのアニメーション。 出典:京都大学

1978年、NASAの科学者Donald J. KesslerとBurton G. Cour-Palaisは、低軌道(LEO)における物体の密度が十分に高くなり、物体同士の衝突が連鎖効果を引き起こす可能性があるというシナリオを提案した。これは、衝突がデブリを生み出し、さらなる衝突の可能性を高め、より多くの衝突とデブリを引き起こすという悪循環につながるというものである。数十年にわたり、天文学者や宇宙機関は、この状態に近づいているか、まもなく近づくことを懸念してきた。

京都大学の研究者らは、衛星を木材で製造することで、寿命終了時に地球の大気圏に再突入する際に燃え尽きると期待している。これにより、退役衛星が地球に帰還する際に生成される可能性のある有害な金属粒子の発生を防ぐことができる。この小型衛星は一辺わずか10cm(4インチ)、重量はわずか900グラムで、これまでに宇宙に送られた衛星の中で最も軽量な衛星の一つとなっている。その名称は、木を意味するラテン語(”lingo”)と、10cmの立方体の形状を持つ小型衛星の分類であるCubeSatに由来している。

打ち上げ前、科学チームはJAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)が準備した特殊な容器にLingoSatを設置した。LingoSatの共同開発者である住友林業の広報担当者によると、「衛星はまもなくISSに到着し、約1か月後に宇宙空間に放出される予定です」とのことである。

衛星はISSに到達後、きぼう日本実験棟(JEM)を経由してドッキングし、その後展開される。その後6か月間宇宙空間に滞在し、衛星からデータが研究者に送信され、ストレスの兆候がモニタリングされる。最終的な目標は、木製衛星が宇宙空間の極端な温度変化と条件に耐えられるかどうかを判断することである。2号機となるLingoSat 2は、2ユニットのCubeSatで、2026年に打ち上げが予定されている。


この記事は、Matt Williams氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。

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