Samsung Electronics、SK hynixMicronが、CXLメモリー拡張装置に使うコントローラーの内製・商用化を縮小したとZDNet Koreaが2026年7月20日に報じた。3社が見直しているとされるのは商用品向けの制御チップを自前で担う体制であり、CXLメモリー製品そのものではない。各社の現行製品ページや2026年の展示にはCXL対応製品が残っている。自社設計のコントローラーを組み込む一体型構想から、専業企業の設計を取り入れる分業へ移る動きと捉えるのが正確だ。

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3社3様の内製縮小

ZDNet Koreaの報道によると、Micronは独自コントローラーの研究開発ラインを整理し、Primemasの製品を採用した。SK hynixは自社開発の中止を主要な協力先へ伝え、担当者をPIM(Processing-in-Memory)分野へ配置転換しているという。Samsungは自社コントローラーを開発部門の先行研究に限って使い、外販製品ではファブレス企業から調達する方針とされる。

ただし、3社は内製計画の変更を公式には発表していない。Samsungも研究を全面的に止めたわけではなく、LPDDRをCXLへ接続する構成などの検証を続けていると報じられた。3社を一括して「CXL開発を断念した」と表現すれば、事実の範囲を越える。

報道が挙げた理由は、既存のサーバー用DIMMとの競合である。高価な独自コントローラーを組み込んだ一体型モジュールを押し出しても、顧客が標準DIMMを使える構成を望めば販売は伸びない。そのうえ、CXL製品が自社のDIMM需要を奪う恐れもあるという。なお、ZDNet Koreaは開発費や失われる売上高を金額で示しておらず、「数十億ドル」の損失を裏づける数字は確認できない。

一体型より、標準DIMMを生かす分離型

CXLメモリーでは、CPUから届くCXLの命令をDRAMの読み書きへつなぐコントローラーが必要になる。CXL Consortiumは、CXL 2.0でメモリーを提供するType 3デバイスをメモリーコントローラーとして定義しており、複数ホストで容量を融通するメモリープーリングもType 3が担うとしている。

一体型は、コントローラーとDRAMをE3.Sなどのモジュールへまとめる。導入側は完成品として扱いやすいが、容量やDRAMの選択肢はベンダーの製品設計に左右される。これに対し分離型では、コントローラーをマザーボードや拡張カードへ置き、その先のスロットに標準RDIMMを挿す。既存の調達網からDRAMを選び、容量を後から組み替えやすい。

すでにAstera Labsは、4本のDDR5-5600 RDIMMスロットと最大2TBを備えるCXL 1.1/2.0対応拡張カードを製品一覧に載せている。コントローラー単体でも、DDR5を2チャネル接続して最大2TBを扱う複数モデルを用意する。分離型は机上の案ではない。ただし、サーバー全体の費用はコントローラーと基板に加え、ソフトウェア対応や用途ごとの性能を含めて比べる必要がある。標準DIMMを使えることだけで必ず安くなるとは限らない。

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128GBから256GB、CXL製品は残る

Samsungの現行製品MD220は、128GB256GBのDDR5をE3.S 2Tへ収め、PCIe 5.0上のCXL 2.0で接続する。同社の製品ページには、CXLメモリーを使うテストツールやホワイトペーパーが2026年3月から6月の日付で追加されている。コントローラーの調達先が変わっても、CXLメモリーと周辺ソフトウェアの開発は続いている。

MicronもAIデータセンター向け製品群にCZ122を掲載中だ。容量は256GBで、最大2TBを追加できる構成と36GB/sの帯域を掲げる。さらにPrimemasは2025年6月、MicronのCXL ASIC Validation Labプログラムを通じ、CXL 3.0対応Hubletコントローラーと128GB RDIMMを組み合わせる計画を発表した。Micronが外部設計を評価し、自社DRAMとの互換性や信頼性を詰める体制は公表済みである。

SK hynixは2025年4月に96GBのCXL 2.0対応CMM-DDR5で顧客認証を終え、128GB品も認証中だと発表した。2026年6月のCOMPUTEXでも、CXL 2.0+対応CMM-DDR5を展示している。公式情報から読み取れるのは、3社がCXLを捨てた姿ではなく、DRAMと完成モジュールを売りながら制御チップの作り方を見直す姿である。

主役がメモリー大手からコントローラー専業へ

内製縮小が定着すれば、価値の一部はPrimemasやAstera Labsなどへ移る。メモリー大手はDRAMの製造、選別、モジュール検証に集中し、専業企業はCXL規格への追随や複数のDRAM構成を支える。顧客はメモリーとコントローラーを分けて選べるため、単一メーカーの製品計画に縛られにくくなる。

一方で、分業だけではCXLの普及時期は決まらない。Samsung自身も、CXL 2.0より新しい規格は十分に商用化されておらず、CPUとメモリーをつなぐ周辺機器まで市場全体が成熟途上だと説明している。規格対応のチップが存在しても、周辺機器を含む市場が成熟するまでは大規模導入の時期を読めない。

2026年後半以降に確かめるべき数字は、外部製コントローラーを採用した量産製品の数と、顧客認証から本番導入へ移った台数である。そこが増えれば、外部製コントローラーを取り入れる分業と、CXL製品の量産拡大が同時に進んだと確認できる。