NASAは2027年のアルテミスIIIを、月面へ宇宙飛行士を送るミッションから、地球低軌道で二つの商用着陸船をOrionへ接続する実証へ組み替えた。Blue OriginBlue Moon、NASAのSLS(Space Launch System)とOrion、SpaceXStarshipを短い間隔で飛ばし、4人のクルーは二つの機体と別々にランデブー・ドッキングする。月面着陸の本番は2028年初めを目標とするアルテミスIVへ移る。アルテミスIIIの成功条件は、月へ到達することから、異なる企業の宇宙機を一つの有人運用として確実につなぐことへ変わった。

この変更は2026年2月27日にNASAが決め、3月に公表したものだ。7月15日の詳細説明で、NASAは三つの大型ロケットを複数の発射台から相次いで打ち上げる構想と、二回の接続試験の役割を明らかにした。アルテミスプログラムのJeremy Parsonsマネージャーは、地上と飛行の運用を伴うこの任務を、最も複雑で野心的な任務の一つと説明している。

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月着陸はアルテミスIVへ、IIIは地球低軌道の実証に

アルテミスIIIにはRandy Bresnik船長、ESA(欧州宇宙機関)のLuca Parmitanoパイロット、Andre Douglas、Frank Rubioの4人が搭乗する。SLSがOrionを低地球軌道へ運び、Orionの点検後に商用着陸船の試験機へ接近する。NASAが6月に発表した計画では、クルーはおよそ2週間宇宙に滞在する見込みだ。ただし、実際の総日数は打ち上げ、ランデブー、接続運用の進み方で決まる。

地球低軌道を選んだ理由は、月へ向かう飛行よりも各要素の打ち上げ機会を多く確保できるためである。NASAによると、三つのロケットはいずれも指定高度へ1回の打ち上げで到達できる。アルテミスIIIでは、二度の接近・接続と統合運用を地球の近くで確認し、その結果を月面着陸前の判断材料にする。

それでも、低地球軌道の実証が月面着陸を保証するわけではない。アルテミスIIIで確認するのは、接近・接続、結合状態の制御、通信、乗員区画の運用である。月面着陸、月周回軌道での着陸船運用、Starshipへの乗員移乗はこの飛行で実証しない。NASAはアルテミスIVの着陸船を、準備が整った提供者から選ぶ方針を示している。

3機を短期間で飛ばす運用

打ち上げ順は、Blue OriginのBlue Moon Mark 2試験機、SLSに載せたOrion、SpaceXのStarship試験機となる。Blue Moonは先に軌道へ入り、最大30日間待機できる。その間に機体を点検してからSLSを打ち上げるため、OrionのクルーはBlue Moonとの接続前に、着陸船の状態を確認する時間を得る。

OrionはBlue Moonとおよそ2日間結合し、最大2人の宇宙飛行士が機内へ入る予定だ。Blue Moonの試験機には、将来のMark 2有人着陸船に近い主要なアビオニクスと飛行ソフトウェア、制御系を載せる。環境制御・生命維持系と乗員区画も飛行で確かめる。着陸船内には計測機器を備えた月面用宇宙服の質量シミュレーターも搭載し、乗員区画の環境データを取る。実物の月面着陸機を飛ばす前に、乗員が扱う区画とOrionの接続を確かめるためのデータを取る。

Blue Moonとの作業を終えると、Orionは切り離してStarshipを待つ。SpaceXはその後にStarship Version 3を基にした試験機を打ち上げる。三つの発射を順に成立させるには、ロケットと発射台の準備に加え、打ち上げチームと管制センターの作業を同期させる必要がある。各地のネットワークと主要拠点間のデータ交換も、今回の実証対象になる。飛行中の接続試験と地上の準備を同時に回す点に、このミッション固有の負荷がある。

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二つのドッキングで試すものが違う

二回の接続は、同じ動作を繰り返す試験ではない。Blue MoonではOrionが乗員区画の脇へ接続し、結合した二機はOrion側のソフトウェアで制御する。宇宙飛行士がハッチを開けて機内へ入り、生命維持系やアビオニクスを含む乗員運用の条件を確認する。将来の有人着陸船へ近づけた試験機を使う意味は、この段階にある。

Starshipでは接続位置も制御の担当も変わる。全長52メートルのStarship Version 3試験機は機首にドッキング機構を追加し、Orionと機首同士で結合する。結合した状態はStarship試験機が制御し、NASAとSpaceXは統合状態の制御性と通信を評価する。クルーはStarshipへ移乗しない。Orionが巨大な機体と安全に接続し、結合後の機体がどう動くかを先に確かめる。

予定では、Starshipとの接続はおよそ1日で、その後Orionは切り離され、太平洋での着水に向けて帰還する。二つの着陸船を同じ条件で比べるのではなく、Blue Moonで乗員区画を、Starshipで大型機との統合制御を試す設計だ。両社が将来の月面着陸へ別の技術経路を持つからこそ、Orionとの接点を地球軌道で別々に検証する。

2028年の月面着陸へ残る判断条件

NASAがアルテミスIIIで先に試すのは、有人機と商用着陸船を一つの飛行計画に編み込む運用である。Blue Moonが待機できる期間、SLS打ち上げ後のOrionの点検、二つのランデブー、ドッキング後の制御切り替えを、地球低軌道で一続きに試す。月周回軌道で着陸船を運用する試験は今回の範囲に入らない。

三つのロケットを予定どおり連ねられるか。接近・接続と統合運用を完了できるか。NASAはアルテミスIIIを着陸前の実証として切り出した。2027年の約2週間で、打ち上げ、機体、管制、乗員運用が一続きで機能したことを示せるかが、2028年の月面着陸に向けた判断材料になる。