QualcommによるSnapdragon Xチップは、間もなくWindows 11「Copilot+ PC」に搭載され多くのユーザーの手に渡ることになるが、これに対し、Armが現在Qualcommに対して起こしている訴訟の結果によっては、販売が差し止めになる可能性もありそうだ。
全てはNuviaの買収から始まった
QualcommとArmの訴訟は、2022年のQualcommによるNuvia買収にさかのぼる。当時Nuviaはサーバー向けプロセッサを設計するためにArmからライセンスを受けていたが、QualcommがNuviaの技術を利用して、ノートPC向けプロセッサ「Snapdragon X」のCPUコアとなる「Oryon」を開発した。
Armは、Nuviaに与えたライセンスがQualcommに譲渡されるにはArmの許可が必要であると主張し、交渉が失敗したため、Nuviaとのライセンスを終了し、Snapdragonメーカーがその契約の下で開発されたプロセッサデザインの使用を停止するよう要求した。「ArmのQualcommおよびNuviaに対する主張は、Armのエコシステムと当社のIPおよび革新的なデザインに依存するパートナーを保護するためであり、したがって、Arm技術から派生したNuviaのデザインを破壊し、使用を停止するというQualcommの契約上の義務を強制するものである」とArmのスポークスパーソンはReutersに語っている。
一方、Qualcommの総顧問であるAnn Chaplin氏は「Armの訴えは、Qualcommがカスタム設計のCPUをカバーする広範な確立されたライセンス権を持っているという事実を無視しており、これらの権利が確認されると確信している」と述べた。
これが、2022年にArmがチップメーカーを訴えた根拠である。Qualcommは、他のArmライセンスがSnapdragon Xに使用されている設計をカバーしていると主張して反論している。さらに、Nuviaの契約の解釈の違いにより、ArmがNuviaのライセンスを終了させる権限に疑問を投げかける可能性がある。
この訴訟がこじれ、Armが勝訴した場合はQualcommにとっては大きな問題となるだろう。なぜなら、同社のSnapdragon X Elite SKUの販売が停止される可能性があり、すでに新しいプロセッサのラインアップを発表している多くのシステムインテグレータに影響を及ぼす可能性があるからである。また、製品の回収やその他の問題を引き起こし、Qualcommにとって尋常ならざる影響をもたらす可能性がある。Qualcomm対Armの裁判は12月に開始されるが、ArmとQualcommが合意に達する可能性もあり、その場合このような状況は避けられるだろう。
QualcommとArmの紛争はメーカーにとっても主要な懸念事項であると言われている。、一方で台湾のチップメーカーであるMediaTekは、Qualcommの独占契約が終了する時期に合わせて、自社のWindows on Arm SoCを準備しているとされ、また、NVIDIAと協力した新たなWindows PC向けチップを開発中との噂もある。MediaTekはQualcommとは異なり、カスタムデザインではなくArmの既製のコアデザインに基づいているため、訴訟のリスクはない。
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