MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏は、AIプラットフォームの大規模な転換期に対応するため、新たな組織「CoreAI – Platform and Tools」の設立を発表した。この再編は、AIエージェントを中心とした次世代のソフトウェア開発基盤の構築を目指すもので、同社の開発部門を大きく再構築する取り組みとなる。
3年で30年分の進化を目指す大胆な組織改編
「30年分の変化が3年に圧縮される!」──Nadella氏はこの劇的な表現で、2025年に向けた同社の変革の規模感を社内外に示した。新組織「CoreAI」は、開発部門(Dev Div)、AIプラットフォームチーム、そしてCTO室の主要チームを統合し、AIエージェントを中心とした次世代のアプリケーション開発基盤の構築を目指す。
この新組織を率いるのは、Metaで11年以上にわたってグローバルエンジニアリング部門を統括してきたJay Parikh氏だ。彼の下で、Eric Boyd氏、Jason Taylor氏、Julia Liuson氏、Tim Bozarth氏らの各チームが、エンドツーエンドのCopilot&AIスタック開発に取り組むことになる。
AIエージェントが切り開く新時代
CoreAIの設立は、Microsoftにとって単なる組織再編に留まらない大きな意味を持つ改革だ。Nadella氏は、2025年はAIモデルを中心としたアプリケーション開発が全てのカテゴリーを再形成する年になると予測する。これは、GUIやインターネットサーバー、クラウドネイティブデータベースが同時に導入されるような規模の変革だと位置付けている。
そんな中、新組織が目指すのは「AIエージェント」の実現だ。これは、特定のビジネスプロセスやタスクに関連するデータを分析し、自律的に行動を提案または開始できるAIシステムを指す。既にSalesforceは、インバウンドリードに自然言語で自律的に対応し、商談を設定するようなAIエージェントを実装している。
Azureを基盤としたAIインフラの構築へ
MicrosoftはAzureをAIインフラの中核として位置付け、その上にAzure AI Foundry、GitHub、VS Codeなどの開発者ツールを展開していく計画だ。特に注目すべきは、GitHubのCopilotをこの新組織に統合する点である。これにより、AIファーストな製品開発とAIプラットフォームの間で緊密なフィードバックループを構築することが可能となる。
Nadellaは「我々の内部組織の境界は、顧客にとっても競合他社にとっても無意味である」と述べ、顧客志向とイノベーションの重要性を強調。「この次のフェーズでの成功は、最高のAIプラットフォーム、ツール、インフラを持つことで決まる」と、今回の組織改編の重要性を訴えている。
Source
- Microsoft: Introducing CoreAI – Platform and Tools
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