MSIは世界初のCAMM2メモリモジュール対応マザーボード「Z790 Project Zero Plus」を発表したが、本来ノートPC向けに設計されたCAMM2規格をデスクトップPCに導入する利点が果たしてあるのかどうか、多くの人が疑問に思ったことだろう。
MSIはこの疑問への1つの答えを用意していた。同社はComputexにおいて、CAMM2メモリモジュールを用いることで、メモリの液冷ソリューションが遥かに簡単に実現出来ることを示している。
CAMM2の形状が容易な液冷システムの構築を可能に
MSIが発表したCAMM2対応マザーボード「Z790 Project Zero Plus」は、登場したばかりのCAMM2メモリを搭載できるということで注目を集めたが、本来ノートPC向けに作られたこの規格をわざわざデスクトップに流用するメリットがあるのかという疑問も生じさせた。
今回、ComputexのMSIブースにおいて、CAMM2メモリモジュール向けに特別に設計されたウォーターブロックが展示されていることをTom’s Hardwareが報告している。CAMM2のマザーボードに水平に設置される形状と相まって、非常にスッキリした構造となっている。
メモリの液冷というのはやり過ぎという意見もあるかも知れないが、DDR5メモリともなればその発熱はバカには出来ないレベルになっており、特にオーバークロックを考えた場合、PMIC、VRM、DRAM を液体で冷却することは大きなメリットをもたらすだろう。そして、前述の通り、CAMM2のマザーボードと水平に設置される形状から、ウォーターブロックの設計と取り付けが容易になる。これはCAMM2をデスクトップ向けに利用する一つのメリットとして今後訴求できるかも知れない。
とは言え、まだこれはコンセプトの段階であり、実際MSIも実際に動作するシステムは披露していないようだ。CAMM2自体もまだいくつかのメモリがリリースされただけであり、成熟したDIMMのようなオーバークロック向けモジュールも登場していない。
だが、今後はCAMM2向けにオーバークロックを意図した高性能なモジュールが登場する可能性も出てくるかも知れない。また、このフォームファクタが省スペースを意図して設計されたことも鑑みれば、先日NVIDIAが発表したような、小型PC向けガイドライン「SFF-Ready Enthusiast GeForce Card」と合わせて、より高性能な小型PCを自作する1つの可能性を提示することにも繋がるのではと予想される。
加えて、今後登場するDDR6では更なる発熱も予想される。PCIe 5.0 SSDも発熱がネックになっている部分もあり、システム全体の液冷という観点で考えれば、液冷に対応させやすいCAMM2は1つの選択肢として大きな可能性を持っているのではとも考えられる。
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