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Neuralink、同社初の脳インプラントに問題が発生したことを報告

Y Kobayashi

2024年5月10日

Elon Musk氏の脳インプラント企業Neuralinkは先日、同社初の人体埋め込み型脳インプラント手術を行い、その成果を報告したが、全てが順調というわけではなく、この技術にその後いくつかの問題が見つかったことが報告されている。

Neuralinkの「N1」デバイスは、今年の1月、29歳のNoland Arbaugh氏の頭部に手術で埋め込まれた。この技術の目標は、人間が頭脳だけで機器をコントロールできる事である。こうしたBrain Computer interface(BCI)を開発するのがNeuralinkの目標だ。

インプラント自体は、ニューロンからの信号を流すように設計された髪の毛よりも細い64本の「糸」に、1024個の電極を組み合わせたものである。この柔軟な糸は、ロボットによって脳の運動皮質(随意運動に関与する脳の領域)に外科的に取り付けられた。

今回Neuralinkが報告した問題は、この糸に起因する。

「手術後の数週間で、多くの糸が脳から引っ込み、有効な電極の数が正味で減少しました。これがBPS(bit/s)の減少につながったのです。その結果、頭だけでコンピュータのカーソルを操作するタスクの速度と精度が低下しました」と、Neuralinkは報告している。1秒あたりのビット数は、Arbaugh氏がコンピューター画面上のカーソルを操作する能力の測定値として使われる。

Wall Street Journal紙は、Neuralinkがインプラントの除去を検討したと報じたが、同社によれば、神経信号の記録とその信号をカーソルの動きに変換するアルゴリズムに変更を加えることで、この問題は克服されたという。

Neuralinkによれば、この変更により、「BPSの急速かつ持続的な向上がもたらされ、現在ではNolandが実現した初期性能を凌駕している」とのことである。

WSJ誌の取材に応じた手術に詳しい情報筋によれば、Arbaugh氏は移植手術の後、頭蓋内に空気が滞留する「気脳症」という状態に陥ったという。

気脳症は、Arbaugh氏の場合のように無症状で無害であることが多いが、それでもNeuralinkは、糸がずれ始めたら彼のインプラントを完全に取り外すことを検討しているという。

またNeuralinkは、臨床試験を規制し、人体実験を許可した米国食品医薬品局(FDA)に対し、問題の解決策があると確信していると伝えたとのことだ。

だがこうした問題があるにもかかわらず、Neuralinkは更に多くの人間にインプラントを埋め込む計画を続けるようだ。WSJによれば、Neuralinkは今年中に10本のインプラントを埋め込みたいと考えているという


Sources

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