多言語対応のAIアバターによる動画生成プラットフォームを提供する「Synthesia」は、NEAをリード投資家とする1億8000万ドルの新規資金調達を実施したと発表した。この調達により、同社の企業価値は前回の2023年の評価額10億ドルから21億ドルへと倍増している。
安全性重視のB2B戦略で成長加速
Synthesiaは、企業向けにAIアバターを活用した動画生成プラットフォームを提供している。現在、世界で6万社以上の企業が顧客として参画し、ユーザー数は100万人を超える。CEO Victor Riparbelli氏は、「当社は他社と異なり、実用性(ユーティリティ)を重視している」と強調する。OpenAIやAnthropicなどの企業が巨額の資金調達を行い、基盤モデルの開発に多額の資金を投入しているのとは対照的に、Synthesiaはベンチャーキャピタルへの依存度を抑えながら、持続可能なビジネスモデルの構築を目指している。
セキュリティとコンプライアンスを重視した製品開発
同社は2023年、Webカメラや携帯電話を使用したAIアバターの生成機能や、腕や手を含むフルボディアバター、画面録画機能など、複数の新機能をリリースした。特筆すべきは、セキュリティ面での取り組みだ。2023年10月には、米国国立標準技術研究所(NIST)のテストを実施し、非合意のディープフェイク作成やアバターの不適切な使用を防ぐためのコンプライアンス管理の有効性を実証している。この取り組みは、元Twitter(現X)のAI倫理部門責任者であるRumman Chowdhury氏が主導した。
グローバル展開と今後の成長戦略
現在、Synthesiaの年間収益の半分以上が米国の顧客から得られており、残りの大半をヨーロッパが占めている。今回の資金調達を通じて、同社はアジア太平洋地域への展開を加速させる計画だ。また、アバターの動きの自然さの向上や、異なる環境への移植機能、ユーザーとの対話機能など、製品の機能拡張にも注力する。人材面では、元AmazonのエグゼクティブであるPeter Hill氏を最高技術責任者(CTO)として迎え入れ、現在は全世界で400人以上の従業員を抱えるまでに成長している。
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