NVIDIAの次世代フラッグシップGPU、GeForce RTX 5090とRTX 5080の仕様が明らかになった。複数の信頼できる情報源によると、このハイエンドグラフィックスカードは2025年初頭、おそらくCES(Consumer Electronics Show)で発表される可能性が高いという。ここで、これまでにリークされているNVIDIA GeForce RTX 5090の仕様詳細についてまとめてご紹介しよう。
RTX 5090の心臓部:21,760のCUDAコアを搭載するGB202 GPU
RTX 5090は、NVIDIAの「Blackwell」アーキテクチャを採用し、現行のRTX 4090を大きく上回る性能を実現する見込みだ。
RTX 5090の心臓部となるのは、GB202と呼ばれる新世代のグラフィックスプロセッサだ。このGPUは、驚異の21,760基のCUDAコアを搭載すると予想されている。これは現行のRTX 4090と比較しても、大幅なコア数の増加だ。
興味深いのは、GB202プロセッサがマルチチップレットデザインを採用する可能性だ。これは、2つのGB203ダイを組み合わせる形で実現される可能性がある。ただし、コンシューマー向け製品でCoWoS-Lパッケージングを使用してダイ間の高速(約10 TB/s)インターコネクトを実現するのは、コスト面で課題があるとも指摘されている。
一方で、21,760基以上のCUDAコアを持つモノリシックなグラフィックスプロセッサをTSMCの4nmクラスプロセスで製造する可能性も考えられる。この場合、約650平方ミリメートルの大型ダイとなり、歩留まりの課題が予想される。NVIDIAがどちらのアプローチを選択するかは、製造コストと性能のバランスに大きく影響するだろう。
最も注目すべき点は、搭載されるVRAM容量だ。RTX 5090は、3GBのGDDR7メモリチップを採用することで、従来の24GB VRAMの壁を突破し、32GBという大容量を実現している。これにより、高解像度ゲーミングやAIワークロードなど、メモリを大量に消費するアプリケーションでの性能が飛躍的に向上すると見られる。
GDDR7メモリの採用により、メモリ帯域幅も飛躍的に向上する。RTX 5090は512ビットインターフェイスでの接続が報告されており、28-32 Gbpsのスピードを実現し、最大2.00 TB/sという驚異的な総帯域幅に達する可能性がある。ただし、当初は歩留まりの関係から、メモリクロックが28Gbpsの物が採用されると見られているが、それでも約1.8TB/sのメモリ帯域幅が見込まれる。これは、データセンター向けGPUで主流のNVIDIA A100 GPU(HBM2接続時)の1.5TB/sをも上回るものだ。この大幅な帯域幅の向上は、8K解像度でのゲーミングや、複雑なレイトレーシング処理、さらには高度なAIタスクの処理速度を大きく引き上げるだろう。
しかし、この圧倒的な性能には代償が伴う。RTX 5090のTDPは600Wに達すると予想されている。これは現行のRTX 4090と比較して150Wもの増加だ。この高い電力要求は、ゲーミングPCの電源ユニットや冷却システムに新たな課題をもたらす可能性がある。特に、小型のPCケースを使用しているユーザーや、既存の電源ユニットでは対応しきれない可能性があり、アップグレードを検討する際には注意が必要だ。
以上をまとめると、RTX 5090の仕様は以下の通りと見られる:
- メモリ容量: 32GB GDDR7 VRAM
- メモリバス幅: 512-bit
- メモリ帯域幅: 最大2.0 TB/s
- TDP: 600W
14層PCBやPCIe 5.0、DisplayPort 2.1aのサポートも
一方で、NVIDIAは電力効率の向上にも注力しているとみられる。過去の例を見ると、RTX 4090は450Wという高いTBP(Thermal Board Power)を持ちながら、実際のゲーム中の消費電力はRTX 3090 TiやRTX 3090を下回っていた。このことから、RTX 5090においても、最大電力と実際の消費電力には大きな差がある可能性が高い。
さらに注目すべき点は、RTX 5090が単一の12V-2×6電源コネクタを採用すると見られることだ。これは、高性能グラフィックスカードの電源供給システムを大幅に簡素化し、ユーザーフレンドリーな設計を実現している。ただし、一部のAIBパートナーがオーバークロック用モデルで2つの16ピンコネクタを採用する可能性も示唆されている。
RTX 5090は、その内部設計においても革新的な特徴を持つ。特筆すべきは、14層のPCBを採用していることだ。これにより信号の整合性が向上し、高速なデータ転送と安定した動作を実現している。冷却システムも進化を遂げ、コンパクトな2スロットデザインのFounders Editionモデルが登場する可能性が高い。これは、高性能と省スペース化の両立を目指すNVIDIAの姿勢を反映している。
RTX 5090は、業界初となるPCIe 5.0規格とDisplayPort 2.1aのサポートも特徴となる。PCIe 5.0は、現行のPCIe 4.0の帯域幅の2倍となる64GT/sと転送速度を提供し、最新のIntelおよびAMDマザーボードの性能を最大限に引き出すことが可能になる。また、DisplayPort 2.1a(UHBR20)のサポートにより、最大80 Gbpsの帯域幅を実現し、16K解像度のディスプレイを60Hzで駆動させたり、4K解像度で理論上960Hzのリフレッシュレートをサポートすることが可能になる。これは、次世代の高解像度・高リフレッシュレートディスプレイに対応する上で重要な進化だ。
Xenospectrum’s Take
NVIDIA GeForce RTX 5090の登場は、グラフィックス技術の新時代の幕開けを告げるものだと言えるだろう。特に32GBのVRAMは、AI開発者らにとっては非常に大きなメリットを持つもので、より高度なAI処理や、これまで想像もできなかったような没入型ゲーミング体験を可能にする基盤となる。
特に注目すべきは、NVIDIAが高性能と電力効率の両立を目指している点だ。600WというTDPは一見して高く感じるが、実際の消費電力が前世代を下回る可能性があるという点は、環境への配慮とハイエンドゲーミングの両立を示している。
また、単一の12V-2×6電源コネクタの採用は、ハイエンドGPUの設置をより簡単にし、幅広いユーザーに受け入れられる可能性がある。ただし、極限のオーバークロッカーにとっては物足りない可能性もあり、AIBパートナーがどのような製品を提供するかも注目点の一つだ。
RTX 5090は、ゲーミングだけでなく、AIやクリエイティブワークにも大きな影響を与えるだろう。NVIDIAが市場のあらゆるセグメントをカバーする戦略は、競合他社に大きなプレッシャーをかけることになる。今後、AMDやIntelがどのような対抗策を打ち出すのか、業界全体の動向に注目が集まるだろう。
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