NVIDIAがGPU用メモリの供給問題に直面し、高性能グラフィックスカードの仕様変更を検討しているようだ。複数の情報筋によると、同社のGeForce RTX 4070グラフィックスカードにおいて、現行のGDDR6Xメモリに代わってGDDR6メモリを採用する可能性があるという。この動きは、半導体業界全体で続くサプライチェーン問題の影響を反映したものと見られ、ハイエンドGPU市場に少なからぬ影響を与える可能性がある。
GDDR6Xの供給不足がNVIDIAの戦略に影響
NVIDIAは現在、高性能グラフィックスカード向けに、Micron社製のGDDR6Xメモリを採用している。このGDDR6Xは、通常のGDDR6と比較して高いメモリ帯域幅を実現し、特に高解像度ゲーミングにおいて優れたパフォーマンスを発揮する。しかし、最近、GDDR6Xメモリの供給に問題が生じている可能性が報じられていた。
この影響のためか、NVIDIAがRTX 4070からRTX 4090のグラフィックボードについて供給を制限する可能性が報じられていた。当初は、NVIDIAが次世代BlackwellのRTX 5000シリーズへの以降のために供給を絞っている可能性も報じられたが、どうやら真実は異なったようだ。
中国のハードウェアフォーラムBenchlifeによって、NVIDIAが8月頃からGDDR6Xメモリの供給不足に直面する可能性が再び報じられている。この供給不足は、Micron社のGDDR6Xメモリモジュールの一部バッチが品質検査に不合格となったことが原因のようだ。
この状況に対応するため、NVIDIAはGeForce RTX 4070グラフィックスカードの一部モデルにおいて、GDDR6Xの代わりにGDDR6メモリを採用することを検討しているという。この変更が実現すれば、RTX 4070のパフォーマンス、特に高解像度でのゲームプレイ時に影響が出る可能性がある。
NVIDIAがこの変更を実施する場合、単純なメモリモジュールの交換だけでなく、GPUダイ自体の変更や、ハードウェアおよびソフトウェアレベルでの調整が必要となる。具体的には、RTX 4060 TiのPCBを流用し、AD104 Ada Lovelaceダイを使用する可能性が指摘されている。
この動きは、NVIDIAのGPUラインナップ全体に波及する可能性がある。RTX 4070だけでなく、GDDR6Xを使用する上位モデル(RTX 4070 Ti、RTX 4080、RTX 4090など)の生産にも影響を与える可能性がある。NVIDIAは限られたGDDR6X供給を、より新しいSuperバージョンに振り分けることで、製品ラインの差別化を図ろうとしているとの見方もある。
一方で、この変更がNVIDIAのAI向け製品の需要増加と関連しているという指摘もある。同社がAI市場に注力することで、ゲーミングGPU向けの生産能力が制限される可能性があるという。
これらの変更が実施されれば、RTX 4070を含むRTX 4000シリーズの供給量が減少し、価格上昇につながる可能性がある。特に中国市場での影響が大きいと予想されている。
なお、この情報はあくまで噂の段階であり、NVIDIAからの公式発表はまだない。しかし、半導体業界のサプライチェーン問題が続く中、各メーカーが柔軟な対応を迫られていることは確かだ。今後のNVIDIAの動向と、グラフィックスカード市場への影響に注目が集まっている。
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