NVIDIAが画期的な技術革新を発表した。同社の人気ゲーミングディスプレイ技術である「G-SYNC」が、MediaTekとの新たな提携により、これまで以上に容易に搭載出来る様になる。この動きは、ゲーマーにとってより手頃な価格でG-Sync対応モニターを入手できるようになることを意味し、ゲーミングモニターの普及を後押しする動きとなるかもしれない。
AMD FreeSyncに対抗、G-SYNCテクノロジーの普及が進むか
NVIDIAは2024年8月21日、MediaTekとの新たなパートナーシップを発表した。この提携により、MediaTekの将来のモニタースケーラーチップにG-Sync技術が直接組み込まれることになる。これにより、G-SYNC対応モニターの製造において、従来必要とされていた専用のG-Syncモジュールが不要となる。
G-SYNCテクノロジーは、2013年にNVIDIAによって導入された。この技術は、ディスプレイのリフレッシュレートをGPUのフレームレートと同期させることで、画面のティアリング(画面の分裂)、スタッター(コマ飛び)、入力ラグを軽減し、よりスムーズなゲーミング体験を提供する。従来、フルスペックのG-Sync機能を実現するには、Altera社のFPGA(Field-Programmable Gate Array)チップをベースとした専用モジュールが必要だった。
今回の提携により、MediaTekは最新のG-Sync Pulsarテクノロジーを含む、NVIDIAのG-SYNC技術のフルレンジをスケーラーに直接統合する。G-SYNC Pulsarは、動きの明瞭さを向上させ、残像を軽減することで、よりスムーズなゲーミング体験を提供する。さらに、MediaTekベースのG-Syncディスプレイは、可変オーバードライブ、12ビットカラー、Ultra Low Motion Blur、低遅延HDR、Reflex Analyzerなどの機能もサポートする。
この統合により、高価なFPGAを組み込むことなく、より多くのモニターがG-SYNCの全機能をサポートできるようになる。NVIDIAのモジュールを必要としない完全なG-SYNCサポートが可能な最初のモニターには、AOC Agon Pro AG276QSG2、Acer Predator XB273U F5、ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNRが含まれる。これらのモニターは360Hzのリフレッシュレート、1440pの解像度、HDRサポートを提供する。
この動きは、NVIDIAがAMD FreeSyncテクノロジーの普及に対抗する戦略の一環と見られている。FreeSyncは追加のハードウェアを必要としないため、低価格帯から中価格帯のディスプレイに広く採用されてきた。NVIDIAは2019年に「G-SYNC Compatible」認証を導入し、FreeSync対応モニターでもG-SYNC機能の一部を利用できるようにしたが、今回の発表はさらに一歩進んだ対応といえる。
ただし、この新しい実装がモニターの価格にどの程度影響するかは現時点で不明だ。NVIDIAとMediaTekの提携の詳細な条件は明らかにされておらず、ライセンス料などの情報も公開されていない。また、MediaTekのスケーラーを採用したモニターと、従来のNVIDIA専用G-Syncモジュールを搭載したモニターとの間に性能差が生じるかどうかも、今後の検証を待つ必要がある。
この技術革新により、G-SYNC対応モニターの選択肢が広がり、より多くのゲーマーが高品質なゲーミング体験を手に入れられるようになることが期待される。ゲーミングモニター市場の競争が激化する中、NVIDIAの新戦略が市場にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
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