ChatGPTで知られるAIスタートアップOpenAIに、また一つ激震が走った。同社の最高技術責任者(CTO)を務めていたMira Murati氏が、突如として退社を発表したのである。この全く予期せぬ動きは、AI業界全体に大きな波紋を広げている。
Murati氏の退社:6年半の軌跡に幕
Murati氏は2024年9月25日(水)、社内メモと共にXで退社を公表した。「多くの熟考の末、OpenAIを去るという困難な決断をしました」と彼女は述べている。OpenAIに6年半在籍したMurati氏は、ChatGPTやDALL-E、Codex、Soraなど、同社の革新的なAI製品の開発と戦略を主導してきた重要人物だった。
Murati氏の退社理由について、彼女は「自分自身の探求のための時間と空間を作りたい」と説明している。具体的な今後の計画には言及していないものの、「現時点では、円滑な移行を確実にし、我々が築いてきた勢いを維持することに全力を尽くすことが私の主な焦点です」と述べ、責任ある引継ぎを約束している。
OpenAIのCEOであるSam Altman氏は、Muratiの退社発表に対して即座に反応し、「Miraが OpenAI、我々のミッション、そして個人的に我々全員にとってどれほど重要だったかを言葉で表すのは難しい」と述べ、彼女の貢献に対する深い感謝の意を表明した。
OpenAIの相次ぐ幹部退社と組織再編の噂
Murati氏の退社は、OpenAIにとって近年続く幹部流出の最新事例となった。2024年5月には共同創設者のIlya Sutskever氏が独立して新会社Safe Superintelligence, Inc. (SSI)を設立し、同年初頭には別の共同創設者John Schulman氏がライバル企業Anthropicに移籍している。また、8月にはOpenAIのPresident Greg Brockman氏が年末までの一時的な休職を発表している。
この一連の幹部退社は、OpenAIの内部動向や将来の研究方針に関する疑問を呼び起こしている。特に、人間レベルの知的作業を行える可能性のある技術、人工汎用知能(AGI)の開発を目指す同社の方向性に注目が集まっている。
さらに、Muratiの退社発表直後、Reutersは OpenAIが非営利の取締役会への報告義務のない営利企業へと再編を計画していると報じた。この動きにより、同社の評価額が1,500億ドルを超える可能性があるという。
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