PCI-EXpressを監督する業界団体であるPCI-SIGは、新しいPCI-Expressの相互配線規格「CopprLink」(Copperではない)の開発が完了し、その仕様を確定させた事を発表した。
新しいCopprLink規格のケーブルは、32GT/sおよび64GT/sのデータレートで、AI、ストレージ、データセンター・アプリケーション向けの高性能ケーブル接続を可能にするよう設計されている。一方、PCI-SIGはすでに128GT/秒のPCIe 7.0向けケーブル接続の標準化に取り組んでいる事も明らかにしている。
CopprLink規格は、内部接続規格である「CopprLink Internal Cable」と、外部接続規格の「CopprLink External Cable」の2つからなる。
CopprLink Internal Cable
CopprLink Internal Cableは、PCIe 5.0およびPCIe 6.0信号を維持できる長さ1メートルまでの新世代のPCIeケーブルを可能にするように設計されている。これは、旧世代のPCIe信号用に設計された旧来の内部PCIeケーブル規格を置き換える物だ。
CopprLink Internal Cableは、これはホストからデバイスへの接続性だけでなく、マザーボードからバックプレーンへの接続性のようなさらに透過的なバックホール・アプリケーションや、チップ間PCIe接続のようなユニークなアプリケーションを提供することを目的としている。言い換えれば、CopprLinkは、システム内でPCIe接続を確立する必要があるほぼすべての状況で、有線PCIeを使用することを可能にするものだ。厳密には、CopprLinkはPCIe CEMコネクタを置き換えるものではないが、比較的太い銅ケーブルはPCBトレースよりも信号損失が少ないため、内部接続でもケーブル接続規格は非常に便利なものとなる。PCI-SIGは、CoprrLink Internal Cableを主にストレージサーバーやデータセンターサーバー向けに位置づけている。
CopprLink External Cable
CopprLink External Cableは、ラック間、CPU-ストレージ間、CPU-メモリー間、CPU-アクセラレーター間の接続を最大2メートルまで可能にするソリューションとなる。さらに、分解されたサーバー・プラットフォーム・ノードのアクセラレーター・ファブリックの接続にも使用可能だ。これらのケーブルはPCIe 5.0とPCIe 6.0を完全にサポートし、SNIAのSFF-TA-1032コネクタを使用してx4、x8、x16接続を可能にする。この規格は、PCIe 6.0で導入された64GT/秒の速度にも対応可能だ。今のところ、このような外部PCIeリンクは、ホスト・ベースボードとアクセラレータ・ボードを備えたAIサーバーで一般的なものだ。高帯域幅で高速な接続は、大容量の外部ストレージをAIマシンに接続したり、AIトレーニング用の大規模クラスタを構築したりするのに使用できる。PCI-SIGも、分散システム間のデータ転送を目的としたAI/機械学習アプリケーションにおいて、CopprLinkの大幅な採用を予測している。
しかし、ストレージ市場では当分の間、確立されたPCI Express External Cabling仕様の使用が継続され、ストレージ専用に調整された更新版が登場する可能性が高いとも予測している。
「CopprLinkケーブル仕様は、PCIeケーブルとPCIe電気的基本仕様をシームレスに統合し、より長いチャネルリーチとトポロジーの柔軟性を提供します。CopprLinkケーブルは、同じコネクタフォームファクタで進化し、将来のPCIe技術世代に対応し、新たなアプリケーションの要求を満たすことを意図しています。エレクトリカル・ワークグループは、128.0GT/秒のPCIe 7.0技術に対応するCopprLinkケーブルのパスファインディング作業をすでに開始しており、CopprLinkケーブル仕様に対するPCI-SIGのコミットメントを示しています」と、PCI-SIG 社長兼会長のAl Yanes氏は述べている。
しかし、銅線ケーブルはこのような延長距離と高帯域幅では限界に直面する。そのため、PCI-SIGは光PCIeケーブルの規格を積極的に開発しているが、これはまだ初期段階だ。
PCI-SIGは、CopprLink仕様の実際の製品への展開を急いでいる。早ければ今夏のカンファレンスでケーブルやシステムを展示することを目指しており、ベンダーは2024年末までにCopprLink対応機器を発表する見込みだ。
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