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Pebble復活、30日駆動の新スマートウォッチ2機種が限定発売

Y Kobayashi

2025年3月19日

元Pebble創業者のEric Migicovsky氏が新会社Core Devicesを設立し、オープンソースPebble OSを搭載した新型スマートウォッチ「Core 2 Duo」と「Core Time 2」を発表した。両モデルとも30日間のバッテリー駆動を実現し、それぞれ149ドルと225ドルで限定予約販売が開始されている。

バッテリー寿命4倍、進化したPebbleウォッチの全貌

Core Devicesの新スマートウォッチは、2016年に事業を終了したPebbleの精神的後継機だ。「Core 2 Duo」は7月出荷開始予定で、白黒の電子ペーパーディスプレイとポリカーボネート製フレームを採用。一方の「Core Time 2」は12月出荷予定で、より大きな64色電子ペーパーディスプレイ、金属フレーム、そしてPebble初となるタッチスクリーンを搭載している。

両モデルの最大の特徴は、オリジナルPebbleで7日間だったバッテリー持続時間が4倍に向上し、30日間の連続稼働が可能な点だ。Migicovsky氏によれば、この飛躍的な改善は過去8年間での低電力Bluetooth技術の進歩によるものだという。また、両モデルともPebbleシリーズで初めてスピーカーを搭載し、より強力で静かな振動のための線形共鳴アクチュエータを採用している。

Core 2 Duo / Core Time 2、スペック比較

偶然にもかつてのPC向けCPUと同じ名前を冠する「Core 2 Duo」(149ドル)は、最後のPebble製品だったPebble 2の現代版として設計されている。1.26インチの白黒電子ペーパーディスプレイ(解像度144×168ピクセル)を搭載し、4つの物理ボタンで操作する。センサーとして6軸IMU、コンパス、気圧計を内蔵し、歩数と睡眠の追跡機能を提供。オリジナルモデルと比較してボタンの信頼性が30%向上している。

Core Time 2」(225ドル)は、発売前に中止となったPebble Time 2の構想を実現したハイエンドモデルである。1.5インチの64色電子ペーパーディスプレイ(解像度200×228ピクセル)を搭載し、4つの物理ボタンに加え、タッチスクリーンを導入。センサーとして6軸IMUと心拍計を内蔵し、心拍モニタリング、歩数計、睡眠追跡機能を提供する。フレームとボタンは金属製で高級感を演出している。

Migicovsky氏によると、タッチスクリーンの追加は主に「コンプリケーション」(時計文字盤上の小さな情報ウィジェット)との対話を実現するためである。これにより、ユーザーはコンプリケーションをタップするだけで関連アプリを直接起動できる。

オープンソースPebble OS、1万超のアプリ資産を継承

両モデルは2025年1月末にGoogleがオープンソース化したPebble OSを搭載している。このOSにより、通知受信、タイムライン、時計文字盤、アラーム、タイマー、カレンダー、音楽コントロール、基本的なフィットネス追跡などの機能が提供される。

特筆すべきは、既存の1万以上のPebble OS用アプリと時計文字盤が、これらの新しい時計でもすぐに動作する点だ。ただし、Core Time 2ではディスプレイサイズが大きくなったため、開発者が更新するまでは元のアプリや文字盤が小さな枠で表示される仕様だ。

Core DevicesはAndroidとiOS向けのコンパニオンアプリを開発中であり、開発者向けに更新されたSDKも提供予定としている。ただし、iOSとの連携には制限があり、通知への返信やその他の高度な機能は利用できないという技術的制約がある。

「愛情を込めたプロジェクト」、Migicovsky氏の理想を形に

元Pebble CEOのMigicovsky氏がこれらの新スマートウォッチを開発した理由は、彼が求める5つの主要機能を持つ製品が市場に存在しなかったからだという。彼が重視する機能は:

  1. 常時表示の電子ペーパー画面
  2. 長いバッテリー持続時間
  3. シンプルで美しいデザイン
  4. 物理ボタンによるUI操作
  5. ハッキング可能なファームウェア

となっている。

「これは何百万もの時計を売るためのスタートアップというよりも、愛情を込めたプロジェクトです」とMigicovsky氏は述べている。彼は製品に荒削りな部分があったり、遅延が発生したり、一部の機能が発売時に準備できない可能性があることを率直に認めながらも、「時計を見るたびに笑顔になることを保証します」と付け加えている。

開発状況については、Core 2 Duoはすでにテスト用に数十個が生産され、PebbleOSも新アーキテクチャでの動作が確認されている段階。一方、Core Time 2はコンポーネント選択と初期設計が完了し、最初のプロトタイプ作成の段階にある。

Apple Watchとの差別化、バッテリー持続とハッカビリティを強みに

これらのスマートウォッチはApple WatchやGarminなどの主流製品とは異なる市場を狙っている。Apple Watchは18時間のバッテリー寿命だが、より明るく鮮やかなディスプレイ、高度な健康追跡機能、Apple Payなどのエコシステム統合を提供している。

Core Devicesのスマートウォッチはエコシステム統合には劣るものの、30日間という圧倒的なバッテリー寿命、常時表示の電子ペーパーディスプレイ、オープンソースの柔軟性とカスタマイズ性を強みとしている。さらに、Migicovsky氏は物理ボタンによる操作性を重視しており、「手首の上のスマートフォン」にはしたくないという哲学を持っている。

価格面では、Core 2 Duo(149ドル)とCore Time 2(225ドル)は、Apple Watch SE(249ドルから)よりも手頃な設定だ。ただし、部品供給の制約から両モデルとも限定数量のみの販売となり、店舗販売の予定はなく、RePebble Storeでの事前注文のみで入手可能となっている。


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