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Pixel 10カメラ衝撃リーク:標準モデルは望遠追加も性能低下?Proは据え置きか

Y Kobayashi

2025年4月4日

Android Authorityによって、Googleの次期スマートフォン「Pixel 10」シリーズのカメラ仕様が大規模にリークされた。標準モデルのPixel 10は、待望の望遠カメラが追加される一方で、メインカメラと超広角カメラのセンサーがPixel 9aと同等のものにダウングレードされるという衝撃的な内容も伝えられている。逆にProモデルは据え置きとなる見込みのようだ。

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Pixel 10シリーズのカメラ仕様リーク詳細

今回のリーク情報は、Android Authorityが、Google内部の情報源から入手したとされる文書に基づいている。これが事実であれば、Pixel 10シリーズのカメラ戦略は大きな転換点を迎えることになる。

標準モデルPixel 10:望遠追加と性能低下のトレードオフか

これまでGoogle Pixelシリーズの標準モデルは、広角カメラと超広角カメラの2眼構成が基本であった。Proモデルとの主な違いは望遠カメラの有無であり、これが差別化の大きなポイントとなっていた。

しかし、リーク情報によれば、Pixel 10ではついに標準モデルにも専用の望遠カメラが搭載される見込みのようだ。採用されるセンサーは、1100万画素のSamsung製「Samsung 3J1」(センサーサイズ1/1.3インチ)とされている。これは、Pixel 9 Pro Foldの望遠カメラや、Pixel 9の前面カメラにも使用されているセンサーだ。Pixel 9 Pro Foldと同じセンサーであることから、同じ5倍のペリスコープレンズが採用される可能性もありそうだが、現時点で光学ズーム倍率に関する確定情報はない。

望遠カメラの追加は多くのユーザーにとって朗報だろう。しかし、その代償は小さくないかもしれない。リークによれば、Pixel 10のメインカメラと超広角カメラは、Pixel 9からダウングレードされる可能性があるのだ。

  • メインカメラ: Pixel 9で採用されているSamsung製「Samsung GNV」(5000万画素、センサーサイズ1/1.31インチ)から、Pixel 9aと同じ「Samsung GN8」(5000万画素、センサーサイズ1/1.95インチ)に変更されるとされる。GN8はGNVと比較してセンサーサイズがかなり小さい。
  • 超広角カメラ: Pixel 9で採用されているSony製「Sony IMX858」(4800万画素、センサーサイズ1/2.55インチ)から、Pixel 9aと同じ「Sony IMX712」(1300万画素、センサーサイズ1/3.1インチ)に変更されるとされる。こちらも画素数、センサーサイズともにダウングレードとなる。

カメラの画質はセンサーサイズに大きく依存する。一般的に、センサーサイズが大きいほど多くの光を取り込むことができ、特に暗い場所での撮影(低照度性能)や、背景をぼかす表現(ボケ味)において有利になる。Android Authorityも指摘するように、高度な画像処理アルゴリズムやAIモデルである程度補うことは可能だが、「最終的には物理法則には勝てない」。もしこのリークが事実であれば、Pixel 10のメインカメラと超広角カメラの基本的な画質、特に暗所性能は、Pixel 9よりも低下する可能性がある。

前面カメラ(セルフィーカメラ)については、Pixel 9と同じ1100万画素の「Samsung 3J1」が引き続き採用される見込みだ。

Pixel 10 Pro / Pro XL:ハードウェアは据え置き、Tensor G5に期待か

標準モデルとは対照的に、上位モデルであるPixel 10 ProおよびPixel 10 Pro XLのカメラハードウェアは、現行のPixel 9 ProおよびPixel 9 Pro XLから変更されない見込みだ。

  • メインカメラ: Samsung GNV (50 MP, 1/1.31”)
  • 超広角カメラ: Sony IMX858 (48 MP, 1/2.55”)
  • 望遠カメラ: Sony IMX858 (48 MP, 1/2.55”)
  • 前面カメラ: Sony IMX858 (48 MP, 1/2.55”, オートフォーカス)

ハードウェアが据え置かれるということは、画質向上は主にソフトウェアとプロセッサの進化に依存することになる。Pixel 10シリーズには、Googleが自社設計し、TSMCが製造すると噂される次世代チップ「Tensor G5」が搭載される見込みだ。このTensor G5に内蔵される、完全にカスタム設計されたとされる新しいISP(Image Signal Processor:画像信号プロセッサ)や、AIアルゴリズムの進化によって、同じハードウェアからさらに高い画質を引き出すことが期待される。

ただし、Tensor G5の純粋な処理性能については未知数であり、初期のベンチマーク情報とされるものを見る限り、競合するQualcommやMediaTekのハイエンドチップに追いつくにはまだ時間がかかる可能性もある。Googleは従来から、Pixelシリーズにおいて純粋な処理性能よりもAIを活用した写真体験を重視しており、Pixel 10シリーズでもその方向性は踏襲されると考えられる。

Pixel 10 Pro Fold:メインセンサーが変更か

折りたたみモデルであるPixel 10 Pro Foldについては、マイナーチェンジが施される可能性がある。リークによれば、メインカメラのセンサーが、Pixel 9 Pro Foldで採用されているSony製「Sony IMX787」(6400万画素、1/1.73インチ、クロップして使用)から、Pixel 10の標準モデルやPixel 9aと同じサムスン製「Samsung GN8」(5000万画素、1/1.95インチ)に変更されるという。これもセンサーサイズとしてはダウングレードとなる。

超広角、望遠、および内外の自撮りカメラについては、Pixel 9 Pro Foldから変更はない見込みだ。

  • 超広角カメラ: Samsung 3J1 (12 MP, 1/3.2”)
  • 望遠カメラ: Samsung 3J1 (12 MP, 1/3.2”)
  • 内面自撮り: Samsung 3K1 (11 MP, 1/3.94”)
  • 外面自撮り: Samsung 3K1 (11 MP, 1/3.94”)

Pixel 10シリーズ カメラ仕様比較(リーク情報に基づく)

リークされた情報を基に、Pixel 10シリーズ各モデルと、比較対象となるPixel 9シリーズ、Pixel 9aのカメラ仕様をまとめた。

モデルメインカメラ (センサー, MP, サイズ)超広角カメラ (センサー, MP, サイズ)望遠カメラ (センサー, MP, サイズ)自撮りカメラ (センサー, MP, サイズ, AF)
Pixel 10Samsung GN8, 50 MP, 1/1.95”Sony IMX712, 13 MP, 1/3.1″Samsung 3J1, 11 MP, 1/1.3”Samsung 3J1, 11 MP, 1/1.3”, AF
Pixel 10 Pro/XLSamsung GNV, 50 MP, 1/1.31”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”, AF
Pixel 10 Pro FoldSamsung GN8, 50 MP (cropped?), 1/1.95” (?)Samsung 3J1, 12 MP, 1/3.2”Samsung 3J1, 12 MP, 1/3.2”内: Samsung 3K1, 11 MP, 1/3.94”
外: Samsung 3K1, 11 MP, 1/3.94”
Pixel 9Samsung GNV, 50 MP, 1/1.31”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”Samsung 3J1, 11 MP, 1/1.3”, AF
Pixel 9 Pro/XLSamsung GNV, 50 MP, 1/1.31”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”Sony IMX858, 48 MP, 1/2.55”, AF
Pixel 9aSamsung GN8, 50 MP, 1/1.95”Sony IMX712, 13 MP, 1/3.1″Sony IMX712, 13 MP, 1/3.1″
Pixel 9 Pro FoldSony IMX787, 64 MP (cropped), 1/1.73”Samsung 3J1, 12 MP, 1/3.2”Samsung 3J1, 12 MP, 1/3.2”内: Samsung 3K1, 11 MP, 1/3.94”
外: Samsung 3K1, 11 MP, 1/3.94”
注意: 上記はリーク情報に基づくものであり、実際の製品仕様とは異なる可能性がある。特にPixel 10 Pro Foldのメインセンサーに関する情報は暫定的なもの。
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Googleの戦略か? 標準モデルとProモデルの明確な差別化

今回のリーク情報が示唆するのは、Googleが標準モデルとProモデルのラインナップをより明確に差別化しようとしている可能性である。Android Authorityは、この動きを「危険なゲーム (dangerous game)」と表現している。

標準モデルであるPixel 10に望遠カメラを追加することは、機能面での魅力を高める一方で、コスト増につながる。そのコスト増を吸収するために、メインカメラと超広角カメラのセンサーを、より安価(と推測される)なPixel 9aと同等のものにダウングレードする、という判断が働いたのかもしれない。また、望遠カメラユニットを搭載するための内部スペースを確保する目的もあるかもしれない。

しかし、この戦略は諸刃の剣となりうる。スマートフォンのカメラにおいて、最も使用頻度が高いのはメインカメラであり、次いで超広角カメラであるユーザーが多い。これらの基本的なカメラ性能が、前世代機や廉価モデル(Pixel 9a)と同等、あるいはそれ以下になる可能性があるとすれば、多くのユーザーは望遠性能の向上というメリットだけでは納得しないかもしれない。

特に、Pixel 9aが優れたカメラ性能を持つことを考えると、もしPixel 10の価格がPixel 9と同程度に設定された場合、ユーザーは追加された望遠カメラのために、メインカメラと超広角カメラの性能低下を受け入れる必要がある。これは、余り望遠カメラを使わないユーザーにとっては、Pixel 10よりもPixel 9aの方が魅力的な選択肢になるかもしれない。

リーク情報の信憑性と今後の展望

今回のカメラ仕様に関するリークは非常に詳細であり、具体的なセンサー名まで挙がっていることから注目に値する。しかし、これはあくまで現時点でのリーク情報であり、Googleからの公式発表ではないことを強調しておく必要がある。

特に、標準モデルのメインカメラと超広角カメラをPixel 9aレベルまでダウングレードするという内容は、やや疑問視する声もある。Googleがフラッグシップモデルでそのような大胆なダウングレードを行うのか、最終的な製品版で変更される可能性も否定できない。そのため、この情報は眉に唾を付けて見ておく必要がありそうだ。

Pixel 10シリーズの正式発表は、例年のスケジュールを踏襲するならば、今年の秋頃(8月~10月)と予想される。それまでに、さらなるリーク情報や公式な情報が出てくる可能性が高い。Tensor G5によるソフトウェア処理が、ハードウェアの変更(あるいは据え置き)をどこまでカバーし、あるいは向上させるのか、そしてGoogleが最終的にどのような価格設定とマーケティング戦略でPixel 10シリーズを展開するのか、今後の動向を注意深く見守る必要がある。


Sources

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