Qualcommが革新的な無線オーディオ技術「XPAN」を搭載した製品の発売が「非常に近い」ことを明らかにした。この新技術は、従来のBluetoothに加えてWi-Fiでの音声伝送を可能にし、ワイヤレスオーディオの使用体験を大きく変える可能性を秘めている。
XPANがもたらす革新性
Qualcommが2023年後半に発表した「Qualcomm Expanded Personal Area Network Technology」(以下、XPAN)は、Wi-Fiを利用したワイヤレスオーディオ伝送を実現する画期的な技術だ。同社によると、この技術には複数の革新的な特徴がある。
最も注目すべき点は、Bluetoothよりも広い範囲での接続が可能になることだ。例えば、スマートフォンを別の部屋に置いたままイヤホンで音楽を楽しむことができる。また、現行のBluetooth規格では実現できなかった、電力消費を抑えながらの24bit/96kHzロスレス音声伝送にも対応する。
さらに、高ビットレート音声と低レイテンシーを両立できる点も特筆に値する。これは特にゲーミング用途において重要な進展となる。
XPANの実用性を高める重要な特徴として、BluetoothとWi-Fiの自動切り替え機能が挙げられる。近距離での通常使用時にはBluetooth接続を維持し、必要に応じてWi-Fi接続に切り替わる仕組みだ。
ただし、この技術を利用するためには、いくつかのハードウェア要件がある。イヤホン側にはQualcommのSnapdragon S7 Proチップが必要で、接続するスマートフォンやタブレットにもSnapdragonプロセッサーが搭載されている必要がある。また、両デバイスは同一のWi-Fiネットワークに接続されていなければならない。
2025年の市場投入への期待
Qualcommは複数の顧客企業とXPAN搭載製品の開発を進めており、「非常に近い将来」に製品発表が行われる見通しであることを、Android Authorityに対して述べている。この技術は、特に自宅やオフィスなど、Wi-Fi環境が整った場所でのワイヤレスオーディオ体験を大きく改善する可能性を秘めたものだ。
高音質と使い勝手の両立を実現するXPANは、ワイヤレスオーディオ市場に新たな選択肢をもたらすことが期待される。ただし、その普及には対応デバイスのエコシステム構築が不可欠となるだろう。
Source
- Android Authority: Move over Bluetooth, the first Wi-Fi earbuds are coming ‘very, very soon’
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