Qualcommが次世代Windows PC向けプロセッサ「Snapdragon X2」を開発中であり、現行の12コアから大幅に増加した18コアを搭載する可能性が高いことが複数の情報源から明らかになった。さらに注目すべきは、プロセッサ、RAM、SSDストレージを単一パッケージに統合するという革新的なアプローチだ。
18コア「Oryon V3」アーキテクチャの採用
WinFutureの報告によると、「Project Glymur」のコードネームで開発されている次世代チップ(モデル番号SC8480XP)は、現行の「Snapdragon X Elite」から50%増となる18コアを搭載するようだ。このプロセッサは新しい「Oryon V3」アーキテクチャを採用しており、これによりパフォーマンスが大幅に向上する見込みである。
輸出入データベースから入手された情報によれば、Qualcommはこのチップをテスト段階で48GBのSK hynix製メモリと1TBのSSDと組み合わせている。現時点ではコアの種類(全てが同じ性能かどうか)やクロック周波数などの詳細は明らかにされていないが、「High-TDP」バリアントと記載されていることから、第1世代Snapdragon X Eliteの最大80Wを超えるTDP(熱設計電力)を持つ可能性があり、最も性能の高いバージョンであることが示唆されている。
システムインパッケージ(SiP)アプローチ
Qualcommの次世代チップの最も革新的な側面は、SiP(System-in-Package)アプローチを採用していることだ。これにより、CPU、LPDDR5-RAM、SSDのストレージチップが単一のパッケージに統合される。この実装方法はAMDの3D V-Cacheテクノロジーのアプローチに近いが、メモリとストレージまで統合する点でさらに野心的だ。
この統合アプローチにより、パフォーマンスと熱管理の向上が期待される一方、製造の複雑さが懸念されている。Qualcommはこのチップを120mmファンを備えたオールインワンクーラーを使用してテストしているとされ、デスクトップPCへの進出を示唆している。
PCプロセッサ市場への本格参入
Qualcommのこの次世代チップは「Snapdragon X2 Ultra Premium」として市場に投入される可能性がある。同社はモバイル市場での成功を足がかりに、Snapdragon X Eliteで始めたPC市場での存在感をさらに強化する狙いだ。
現行のSnapdragon X Eliteの最大TDP(熱設計電力)は80ワットだが、次世代モデルではコア数増加により、この数値を上回ることが予想される。また、Qualcommは幅広い市場セグメントをカバーする包括的な製品ラインナップを計画していると報じられている。
なお、この新しい最上位チップの広範な市場投入は来年になる見込みだが、今週バルセロナで開催されるMWC(Mobile World Congress)で何らかの公式情報が発表される可能性もある。
XenoSpectrum’s Take
今回のSnapdragon X2に関する情報は、QualcommがPC市場、特にデスクトップ分野での存在感を高めようとしていることを強く示唆している。18コアCPUとSiP構造の採用は、従来のPCプロセッサとは異なるアプローチであり、Qualcommのモバイル分野での経験と技術力が活かされている。
SiPによるメモリとSSDの統合は、性能向上と省電力化に貢献する可能性を秘めているが、製造コストや歩留まりなどの課題も存在する。Qualcommがこれらの課題をどのように克服し、競争の激しいデスクトップPC市場で存在感を示せるか、今後の動向に注目したい。
もしこの情報が正しければ、IntelやAMDといった既存のx86プロセッサメーカーにとって、Qualcommは無視できない存在となるだろう。ArmベースのSnapdragon X2が、デスクトップPC市場にどのような影響を与えるのか、今後の展開が非常に楽しみだ。
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