Honeywell Internationalが、量子コンピューティングの子会社Quantinuumの新規株式公開(IPO)を検討していることが明らかになり、量子技術業界に大きな注目が集まっている。Bloombergの報道によると、Honeywellは早ければ来年にも100億ドルの評価額でQuantinuumを上場させる可能性があるとのことだ。
Microsoftやケンブリッジ大学らと多くの学術的提携を結んでいる
Quantinuumは、2021年にCambridge QuantumとHoneywell Quantum Solutionsの合併により誕生した比較的新しい企業だ。現在、Honeywellが約54%の株式を保有する筆頭株主となっており、Quantinuumの創設者であり最高製品責任者のIlyas Khan氏が約23%の株式を保有する第二の大株主である。その他の株主にはIBMや日本のJSR株式会社が含まれている。
Bloombergの報道によれば、HoneywellはQuantinuumの米国上場に向けて複数の投資銀行と協議を開始したとされる。この動きは、量子コンピューティング技術への関心と投資を大きく高める可能性を秘めている。実際、この報道を受けてHoneywellの株価は最大2.6%上昇し、6月初旬以来最大の上げ幅を記録したという。
今年1月には、HoneywellはQuantinuumの3億ドルの資金調達ラウンドを成功させ、50億ドルのプレマネー評価を達成した。 この資金調達はJPMorgan Chaseが主導し、三井物産とAmgen社が参加した。 この投資ラウンドにより、Quantinuumの創業以来の資金調達総額は約6億2500万ドルに達した。
Quantinuumは、イオントラップ方式を採用した量子コンピューターの開発に注力している。同社のH-Seriesテクノロジーは、高い忠実度の量子演算と改良されたエラー訂正を実現しており、複雑な問題を解決する能力を持つとされる。
Quantinuumの技術力を示す重要な成果として、今年の春に発表されたMicrosoftとの共同研究がある。両社の科学者たちは、Quantinuumのイオントラップ量子ハードウェアとMicrosoftの量子ビット仮想化システムを使用して、これまでで最も信頼性の高い論理量子ビットを実証した。この実験では14,000回以上のエラーのない実験が行われ、現在のNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)時代からの重要な一歩を記したと考えられている。
IPOが実現すれば、Quantinuumの評価額は現在の推定50億ドルから100億ドルに倍増する可能性がある。これにより、量子技術産業全体の評価額に波及効果をもたらす可能性がある。
ただし、IPOに関する協議はまだ初期段階にあり、計画の詳細は変更される可能性がある。HoneywellとQuantinuumの代表者はこの件についてコメントを控えている。
IPOプロセスは通常6か月から1年かかるとされており、早ければ2025年初頭から中頃にQuantinuumのIPOが実現する可能性がある。今後の展開に注目が集まっている。
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