日本で再び最先端半導体製造を行う事を目指すRapidusは、2027年の2nmプロセスチップの商業化に向けたプロジェクトを進行中だが、これに対し日本政府は総額5900億円の追加支援を行うことを発表した。支援の内訳は、半導体の製造装置の導入や研究開発にかかる費用などで5365億円、マルチ・チップレット、パッケージング技術の開発などに535億円となる。
この追加資金は、同社の計画を大きく後押しすることになる。だが今回の追加支援によって、政府の支援総額は9,200億円に達するとはいえ、プロジェクト全体では約5兆円の費用がかかると予想されているため、これだけではまだ十分とは言えない。Rapidusにはトヨタ自動車やNHK、Sonyグループが出資しており、今後先端半導体の重要性がますます増していくことを鑑みれば、同社は十分な資金を得られるかもしれない。
Rapidusの最高経営責任者である小池淳義氏は、「今回の支援は、試作ラインの実現に向けて大変、重要な意義を持つと考えている。細かい課題は山のようにあるが、一歩ずつ進めていけば、2ナノメートルの先端半導体を実現できると固く信じている」と、会見で述べている。同社によると、2025年4月までに生産テストを開始する予定であり、2027年までに大規模生産を開始することを目指している。2nmチップの商業生産は2025年中に開始される予定だ。
Rapidusは、IBMと共同で2nm製造プロセスを開発し、製造施設を建設するほか、マルチチップレットのシステムインパッケージ(SiP)向けの高度なパッケージング技術にも取り組んでいる。今回の政府補助金には、この分野の研究開発に535億円が含まれているが、日本が半導体パッケージング技術に補助金を支給するのは初めてのことだ。
加えて、Rapidusが後工程のパッケージングにセイコーエプソン株式会社千歳工場(北海道千歳市)の一部を使用することも明らかになった。この工場は、Rapidusが千歳市美々の工業団地「千歳美々ワールド」内に建設中の半導体製造拠点IIM(Innovative Integration for Manufacturing)千歳市工場に近い。このスペースはパイロット段階の研究開発活動専用となる。
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