Google の新しい Pixel 9 シリーズは、搭載メモリ(RAM)容量が前モデルから大幅に増加している点で大きな進化を遂げているが、どうやらその全てをユーザーが利用可能なわけではないようだ。一部のメモリはAI機能の強化と性能向上のためにあらかじめ確保されており、それ以外の用途では利用できないと言う。
Pixel 9 シリーズの大容量RAMはAI処理のため
Pixel 9 シリーズでは、ベースモデルに12GB、Pro モデルにはライバルのiPhone 15 Proの2倍の容量となる、なんと16GBもの大容量RAMを搭載しており、これは過去のモデルから大きなアップデートだ。しかし、Google はこの増加したRAMの一部を「Gemini Nano」と呼ばれるAIモデルの実行に専用に割り当てている。
Gemini Nano はマルチモダリティを備えた Google の最も効率的なオンデバイス処理用 AI モデルだ。Googleはこの処理のために傘下のAI研究所Google DeepMindと協力して「Tensor G4」チップを最適化し、このモデルを Pixel 9 シリーズ上で効果的に実行できるようにした。RAMの一部をAI処理に割り当てることで、より高速かつスムーズなAI体験を提供することを目指している。
具体的にどの程度のRAMがAIモデル専用に割り当てられるかは明らかにされていないが、この専用RAMは全てのAIベースのアプリケーションに使用される。興味深いことに、ユーザーがGeminiから従来のGoogleアシスタントに切り替えたとしても、このRAM割り当ては解放されない仕組みになっている。
この新しいアプローチがAI関連タスクの性能向上にどの程度貢献するかは、実際に動作している様子を試してみないことには評価出来ない部分も多いが、同時に、RAMの一部をGeminiに割り当てることが、特にベースモデルのマルチタスク性能にどのような影響を与えるかも興味深い所だ。
搭載RAMが増えたことでゲーム用途や処理の重いアプリケーションを複数立ち上げた際の動作が改善されることを期待していたユーザーにとっては少し残念な話かもしれない。
だが、Pixel 9 シリーズのこうした従来とは異なるアプローチは、スマートフォン業界におけるAI統合の新たな指標となる可能性がある。ユーザーエクスペリエンスとAI性能のバランスを取るこの試みは、今後のスマートフォン開発の方向性に大きな影響を与えるかもしれない。詳細な性能評価や実際の使用感については、今後の包括的なレビューを待つ必要があるが、Google のこの大胆な施策がユーザーからどのような評価を受けるのか、実際の発売が楽しみだ。
Source
- Android Authority: The Pixel 9 series has more RAM, but it’s not all available to you
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