TikTokが人工知能技術の利用に巨額の投資を行っていることが明らかになった。ショート動画プラットフォームの運営元であるByteDanceは、Microsoft Azure OpenAIサービスに毎月約2000万ドルを費やしており、この支出はMicrosoftのAIクラウドコンピューティング事業の大きな収益源となっているようだ。
TikTokはAI技術にSNSの未来を見ている
The Informationの報道によると、TikTokは2024年3月時点で、Microsoft Azure OpenAIサービスに毎月約2000万ドルを支払っていた。この金額は、Microsoftの同サービスの月間収益の約25%を占めており、年間10億ドルの収益が見込まれるビジネスの重要な部分を形成している。
MicrosoftのAzure OpenAIサービスは、OpenAIの強力な言語モデルを利用可能にするクラウドベースのプラットフォームである。TikTokがこのサービスを大規模に利用していることは、同社がAI技術の開発と応用に積極的に取り組んでいることを示している。
しかし、TikTokの今後のAI戦略には不確実性も存在し、こうしたMicrosoftへの多額の支払いが続かない可能性もある。その最大の要因の一つが米国政府による規制圧力だ。Biden大統領は2024年4月、TikTokに対して9ヶ月以内に米国事業の売却か禁止措置を取ると発表した。ByteDanceは現在、この決定に対して法廷で争っている。
もう一つの要因は、TikTokの自社AI開発の進展だ。ByteDanceは独自の大規模言語モデル(LLM)の開発に取り組んでおり、将来的にはMicrosoft Azure OpenAIサービスへの依存度を下げる可能性がある。2023年には、ByteDanceがOpenAIの技術を「秘密裏に使用」して独自のLLMを開発していたことが報じられ、OpenAIはByteDanceのアカウントを一時停止して調査を行った。当時、ByteDanceはCNNに対し、独自のモデル作成に役立てるため、「ごく限られた範囲で」この技術を利用していると語った。
Microsoftはと言えば、数十億ドル規模の投資契約を結び、OpenAIの独占クラウド・プロバイダーとなっており、ChatGPTを動かすためのスーパーコンピューターの構築に「数億ドル」を費やしている。 Microsoftは、2024年第4四半期の業績報告で、Azureの収益成長率が29%であったことを明らかにした。 Amy Hood最高財務責任者(CFO)は、2025年第1四半期のAzureの収益成長率は28~29%程度になると予想していると述べている。
Source
- The Information: TikTok Spending Drove Microsoft’s Booming AI Business
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