台湾の半導体大手TSMCが2025年に向けて2nmプロセス技術の開発と生産能力拡大に注力する方針が明らかになった。予想を上回る需要に応えるため、資本支出を大幅に増加させる見込みだ。この動きは、半導体業界全体に影響を与える可能性がある。
TSMCの2nmプロセス開発と設備投資計画
聯合新聞によると、TSMCは2025年の資本支出を320億〜360億米ドルに増額する見通しのようだ。これは前年比12.5%〜14.3%の増加となり、同社の歴史上2番目に高い水準となる。この大規模な投資の背景には、2nmプロセス技術への強い需要がある。
業界筋によると、TSMCの2nmプロセス技術に対する顧客の需要が予想を上回っているとのことだ。当初、Appleが2nmプロセスの最初の生産能力を確保していたが、AIの急速な発展により、Apple以外の顧客も積極的にTSMCの2nmプロセスの採用を計画しているという。
こうした強い需要を受け、TSMCは2nmプロセスの生産能力を台湾全土で拡大する計画だ。具体的には、新竹科学園区の寶山に4期、高雄に2期、そして南部科学園区にも新たな生産ラインを設置する可能性がある。これにより、2nmプロセス技術の生産能力は少なくとも8工場に及ぶ見込みだ。
2nmプロセス技術の量産開始は2025年を予定しており、新竹科学園区の寶山第一工場では2024年4月に設備の搬入が始まる。高雄工場では2025年第3四半期に設備搬入が開始される見込みで、南科での生産が実現すれば、2025年末から2026年にかけて順次量産が拡大されると予想される。
この大規模な設備投資の恩恵は半導体製造装置メーカーに及び、オランダのASMLやアメリカのApplied Materialsなどの収益に大きく貢献するだろう。
TSMCの魏哲家会長は今年の株主総会後、「AIがTSMCの前途を非常に明るくしている」と述べ、資本支出と生産能力の慎重な検討を行っていることを強調した。同時に、「投資家の皆様には今後の展開にご期待ください」と語った。
業界関係者は、TSMCが市場の需要に応じて戦略を調整していると見ている。中部科学園区では、さらに先進的な1nmファミリーのプロセス技術のための空間が確保されているという。
専門家は、TSMCの3nmおよび5nmプロセス技術が既に十分なキャッシュフローを生み出すため、2025年の資本支出増加が配当に悪影響を与えることはないと予想している。むしろ、四半期配当が段階的に引き上げられ、2025年には1株当たり現金配当が24台湾ドルから始まる可能性があるとしている。
Sources
- 聯合新聞
- via Wccftech:
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