Microsoftが開発中のWindows 11に搭載予定のAI新機能「Recall」をめぐり、ユーザーが完全に削除できるオプションが追加されたと思われていたが、これは単なるバグであったことが明らかになった。
Microsoftは、The Vergeの取材に対し、Windows 11の最新アップデート(KB5041865)で「Recall」を完全に削除できるオプションが表示されたのは誤りであると認めた。Windows上級プロダクトマネージャーのBrandon LeBlanc氏は、「コントロールパネルの『Windowsの機能の有効化または無効化』ダイアログに、Recallが誤ってオプションとしてリストされている問題を認識しています。これは今後のアップデートで修正される予定です」と述べている。
AI機能の「Recall」とは
「Recall」は、Windows 11に搭載予定の革新的なAI機能だ。このツールは、ユーザーのPC画面を数秒ごとにスクリーンショットとして保存し、AI技術を使用してその内容をスキャンし、検索可能なデータベースを作成する。これにより、ユーザーは数か月前に作業していた内容を素早く見つけ出すことができるようになる。
しかし、この強力な機能がプライバシーの懸念を引き起こしているのも事実だ。そのため、Microsoftは当初6月に予定していた「Copilot+ PC」向けの「Recall」機能のリリースを延期。セキュリティ研究者らが指摘した問題点に対応するため、大幅な変更を加える時間を設けた。
ユーザーに与えられた選択肢と今後の展開
Microsoftは、「Recall」を完全に削除することはできないものの、ユーザーがこの機能を無効にする選択肢は提供する方針だ。当初はデフォルトで有効になる予定だった「Recall」だが、現在はオプトイン(利用者が選択して有効にする)方式に変更されている。
さらに、セキュリティ面での懸念に対応するため、Microsoftは「Recall」のデータベースを暗号化し、Windows Helloによる認証を導入するなどの対策を講じている。
しかし、一部のユーザーや企業にとっては、これらの対策でも十分ではない可能性がある。特に、セキュリティに敏感な企業や政府機関では、「Recall」機能を搭載したCopilot+デバイスの使用を制限する可能性も指摘されている。
EUの規制により、MicrosoftはEuropean Economic Area(EEA)諸国向けのWindows 11で、Microsoft Edgeブラウザの削除オプションを追加せざるを得なかった経緯がある。同様に、「Recall」についても、EUの規制に応じて完全な削除オプションを提供する可能性は残されている。
Microsoftは、10月にWindows Insider向けに「Recall」のプレビュー版を公開する予定だ。この時点で、ユーザーは実際に「Recall」の機能を体験し、そのメリットとデメリットを評価することができるだろう。
プライバシーとユーザビリティのバランスを取ることは、AIを活用した新機能の開発において常に課題となる。Microsoftが「Recall」をどのように進化させ、ユーザーの懸念にどう対応していくのか、注目したいところだ。
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