Oracleが、Arm系チップ設計会社Ampere Computingの買収に向けて動き出した可能性が浮上している。Oracleの最新の規制当局への提出書類によれば、同社は現在Ampereの29%の株式を保有しており、2027年までに支配権を獲得する選択肢を持っていることが明らかになった。
OracleのAmpere Computingへの大規模投資
Oracleは過去数年間にわたり、Ampere Computingへの投資を着実に増やしてきた。2024年5月31日時点で、OracleのAmpereへの投資の総額は15億ドルに達している。この金額は、株式法に基づく会計処理後の投資の簿価を反映したものだ。
さらに注目すべきは、Oracleが2024年度にAmpereに対して6億ドル、前年度に4億ドルの転換社債を提供していることだ。これらの債務は2026年6月から満期を迎え始める。その時点で、Oracleはこれらの投資を追加の株式に転換するオプションを持つことになる。
Oracleの規制当局への提出書類[PDF]には、次のような記述がある。「我々または共同投資家がこれらのオプションのいずれかを行使した場合、我々はAmpereの支配権を獲得し、その業績を我々の業績と連結することになる」
この状況は、OracleがAmpere Computingの完全な所有権を獲得する意向を持っている可能性を示唆する物と言えるだろう。Ampereは現在、データセンター向けのArm互換プロセッサを設計・製造する先駆的企業として知られており、MicrosoftやGoogleなどの大手テクノロジー企業を顧客に持つ。
Ampere Computingの現状
Ampere Computingは、データセンター向けArm互換プロセッサの設計・製造において先駆的な役割を果たしてきた企業だ。同社の製品は、Microsoft、Google、Tencent、ByteDance(TikTokの親会社)など、大手テクノロジー企業に採用されている。
特筆すべきは、Oracleのサービスの95%がAmpereのチップを使用しているという点だ。両社は最近、Uberと提携し、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)上でカスタムAmpereチップを使用できるようにする取り組みを行っている。
しかし、Ampereを取り巻く環境は急速に変化している。同社は当初、ArmのNeoverse設計をベースにしていたが、最新のAmpere Oneシリーズでは完全に自社設計のArmコアを採用している。現在、256コア版のAmpereOneプロセッサを2025年に発売予定で、512コア版も開発中だ。
一方で、競合環境も激化している。IntelやAMDが128〜288コアの競合製品を投入しているほか、MicrosoftやGoogleも独自のArmシリコン(それぞれCobaltチップ、Axionチップ)を発表している。さらに、Arm自体もCompute Subsystems(CSS)を提供し、カスタムチップを望む顧客向けのソリューションを展開している。
このような状況下で、Ampereの今後の展開に注目が集まっている。最近の報道によれば、Ampereは潜在的な売却を模索しているという。Bloombergの報道によると、Ampereの幹部陣は数ヶ月前から財務アドバイザーと協力して買収先を探している可能性がある。ただし、独立を維持する選択肢も残されているという。
興味深いのは、Ampereの創業者であり、CEOであるRenée James氏が、Oracleの取締役会の再選に立候補しないことを表明した点だ。この動きは、AmpereとOracleの関係に何らかの変化が生じている可能性を示唆している。
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