次世代のスマートフォン向けフラッグシップチップセット、QualcommのSnapdragon 8 EliteとMediaTekのDimensity 9400の価格情報がリークされたが、消費者にとっては残念なことに、両者ともに前世代から約20%の価格上昇が予想されている。この情報が事実であれば、次世代Androidスマートフォンは更に高額になる可能性がありそうだ。
リークされた価格情報と上昇の背景
中国のリーカーとして知られるDigital Chat Station氏が、WeiboでこれまでSnapdragon 8 Gen 4と呼ばれていたが、最近の情報ではSnapdragon 8 Eliteとブランド名を一新するとされるQualcommのフラッグシップチップと、MediaTekのDimensity 9400の価格情報を投稿した。同氏によると、Snapdragon 8 Gen 4は約190ドル、Dimensity 9400は約155ドルとされ、両チップセットともに、前世代から約20%の価格上昇が見られるという。これは、チップの価格だけでミドルレンジスマホと同じ価格になるということだ。
この大幅な価格上昇の主な要因は、TSMCの3nmプロセス技術の採用にある。最新の製造プロセスは性能と効率を向上させる一方で、製造コストの増加をもたらす。特に、今回採用される「N3E」と呼ばれる第2世代3nmプロセスは、Snapdragon 8 Gen 3やDimensity 9300で用いられていた製造プロセスと比較して高額な製造コストを要すると言われている。
価格情報の信頼性については、著名なアナリストのMing-Chi Kuo氏も同様の予測を行っていることから、ある程度の確度があると考えられる。Kuo氏は今年初めに、Snapdragon 8 Gen 4の価格が前世代比20%から30%上昇し、190ドルから200ドルになると予測していた。
ただし、Digital Chat Stationは、これらの価格はあくまで概算であり、実際の価格は排他性や生産量など、さまざまな要因によって変動する可能性があると注意を促している。そのため、Samsung、Xiaomi、ZTEなどの大手メーカーが実際に支払う価格は、これらの概算とは異なる可能性がある。
Xenospectrum’s Take
チップセットの価格上昇は、スマートフォンメーカーに大きなジレンマをもたらしている。Xiaomiは最近、「上流コストの上昇」に言及し、フォロワーに対して次のような質問を投げかけた。「スマートフォンの性能をダウングレードして価格を維持するべきか、それとも性能を向上させて価格を引き上げるべきか」。この質問は、多くのAndroidスマートフォンメーカーが直面している課題を端的に表している。
消費者にとっては、次世代のフラッグシップスマートフォンの価格上昇が避けられない状況となりそうだ。チップセットコストの増加は、最終的に製品価格に反映される可能性が高い。ただし、MediaTekのDimensity 9400がSnapdragon 8 Gen 4よりも安価であることから、一部の中国メーカーはMediaTekのチップセットを採用することで、価格上昇を抑える戦略を取る可能性もある。
業界全体としては、この価格上昇が新たな競争環境を生み出す可能性がある。Dimensity 9400は、AnTuTuベンチマークで300万点を超える初のスマートフォンチップセットとなり、GPU性能もAppleのM4を上回るとの報告もある。この性能と価格のバランスが、MediaTekの市場シェア拡大につながる可能性も考えられそうだ。
また長期的には、この状況が半導体製造技術の更なる革新を促し、より効率的で低コストな製造プロセスの開発につながる可能性もある。消費者、メーカー、チップセットベンダーの三者がWin-Winの関係を築けるか、今後の展開に注目が集まる。
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