最新の大規模調査で、スマートフォン購入者の実態が浮き彫りになった。AppleやGoogle、Samsungが次世代AI機能を大々的に宣伝する中、実際の消費者は依然としてバッテリー性能という基本機能を最重視していることが判明。米CNETが実施した全米成人2,387人(スマートフォン所有者)を対象とする調査によると、新機種への買い替え動機として「バッテリー持続時間の向上」を挙げた回答者は61%に達し、各社が推進するAI機能(18%)を大きく引き離す結果となった。
AIよりも基本機能、消費者の現実的なニーズが鮮明に
スマホ購入者の本音が明らかに:バッテリー持続時間が最重視、AI機能は後回し傾向調査結果からは、消費者が重視する機能の優先順位が明確に浮かび上がってきた。最も多くの回答者がバッテリー持続時間の向上を重視し、次いでストレージ容量の増加が46%、カメラ機能の向上が38%と続いている。具体的には以下の通りだ:
- バッテリー持続時間の向上:61%
- ストレージ容量の増加:46%
- カメラ機能の向上:38%
- 画面サイズ・ディスプレイ品質:32%
- iOS/Androidエコシステムの維持:24%
- AI機能の統合:18%
- 端末のカラーバリエーション:10%
さらに注目すべき点として、スマートフォン所有者の25%が「AI機能を特に有用とは感じていない」と回答。また、将来的なAI機能の有料化に対して45%が否定的な姿勢を示している。これは、米国の成人が月平均91ドルをサブスクリプションサービスに費やしている現状で、新たな月額課金への抵抗感が強まっていることを示唆している。
世代間格差が顕著、Z世代とミレニアル世代がAI活用をリード
調査結果からは、AI機能の受容度に明確な世代間格差が存在することも判明した。Z世代とミレニアル世代の約20%がAI機能に期待を持ち、有用だと感じていると回答。実際の利用状況を見ても、この世代の15-16%が写真編集や画像生成、テキスト要約などのAI機能を日常的に活用しており、ChatGPTやGoogle Geminiといったツールも定期的に使用している実態が明らかになった。
この結果は、若年層を中心にAI機能の実用的な活用が着実に広がりつつあることを示している。
プライバシー懸念と買い替えサイクルの変化
調査ではAI機能に関するプライバシー懸念も浮き彫りになった:
- 34%がAI機能のプライバシーについて不安を表明
- 44%が「端末が故障または交換が必要になるまで」買い替えを見送る傾向
- 30%が3年以上同じ端末を使用
- 18%が2年周期で買い替え
- 8%が毎年買い替え
特にiPhoneユーザーの場合、3分の1が3年以上端末を使用し続ける傾向が強いことが判明した。
折りたたみスマホへの関心も限定的
調査では、GoogleやSamsungが注力する折りたたみスマートフォンへの消費者意識も明らかになった:
- 52%が「折りたたみスマホへの購入意欲なし」
- 13%が「今後2年以内の購入に興味あり」
この結果は、Appleが未参入の折りたたみスマホ市場において、消費者の実需がまだ限定的であることを示している。
Xenospectrum’s Take
今回の調査結果は、スマートフォン市場の重要な転換期を浮き彫りにしている。各メーカーがAI機能を前面に押し出す製品戦略を展開する一方で、消費者の実際のニーズは「より長く使える」「より多くのデータを保存できる」「より良い写真が撮れる」という、スマートフォンの基本的な価値提案に集中している実態が明確になった。
特に注目すべきは、新たなAI機能の月額課金に対する強い抵抗感である。これは既存のサブスクリプションサービスの支出増加と密接に関連しており、メーカーは無料サービスとプレミアム機能の線引きを慎重に検討する必要があるだろう。
また、34%のユーザーがAI機能に対するプライバシー懸念を示している点は、AppleのようなオンデバイスAI処理の重要性を裏付けている。各社は透明性の高いプライバシーポリシーとセキュアなAI実装を優先すべき段階に来ている。
その一方で、Z世代とミレニアル世代におけるAI受容度の高さは、将来的な市場動向を示唆している。しかし、現時点では全体の4分の1がAI機能に否定的な見方を示しており、メーカーはAI機能の実用的価値をより明確に訴求していく必要がある。
これらの調査結果は、スマートフォンメーカーに対して重要なメッセージを投げかけている。確かにAIは将来の差別化要因となる可能性を秘めているが、現時点で消費者が最も重視するのは依然として基本機能の充実である。各社は、AI機能の開発と並行して、バッテリー性能やストレージ容量といった基本機能の向上にも継続的に注力する必要があるだろう。
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