AppleはM2およびM3搭載MacBook Airの基本構成モデルにおいて、メモリ(RAM)容量を8GBから16GBへと増量する変更を実施した。注目すべきは、この大幅なスペックアップグレードにも関わらず、価格が据え置かれている点だ。M2 MacBook Airは164,800円から、M3 MacBook Airは13インチが194,800円、15インチが224,800円での提供が継続される。
基本構成の大幅強化でユーザー価値が向上
従来、MacBook Airで16GBのRAMを搭載するには30,000円の追加費用が必要であった。今回の変更により、ユーザーは追加コストなしで高性能な構成を入手できるようになる。最大搭載RAMは24GBで変更なく、16GBからの増設には30,000円が必要となる。
ストレージに関しては、全モデルで256GBからの構成が維持されている。この基本RAMの増量は、2012年以来となるAppleの基本モデルにおけるメモリ容量アップグレードである。
AIへの布石を示唆する戦略的なアップグレード
この変更の背景には、将来的なAI機能の実装を見据えた戦略があると見られる。現在のApple Intelligence機能は8GBのRAMで動作可能であるものの、オンデバイスで処理される大規模言語モデルや画像生成アルゴリズムには、より多くのメモリリソースが必要となる可能性が高い。
実際に、XcodeのPredictive Code Completion機能は初期のベータ版で16GBのRAMを要件としていた。現在は8GBでも動作するように最適化されているが、今後のAI機能拡張に向けた伏線と解釈できる。
Xenospectrum’s Take
この動きは、AppleのAI戦略における重要な布石と分析できる。MicrosoftがCopilot+ PC向けに16GBのRAM要件を設定していることからも、オンデバイスAI処理の標準仕様として16GBが業界標準になりつつあることが窺える。
特筆すべきは、性能向上とコスト据え置きの両立である。これはAppleのハードウェア事業における収益性の高さと、長期的なエコシステム戦略を示唆している。将来的なAI機能の実装を見据えつつ、現行モデルのユーザー体験も大幅に向上させる今回の決定はユーザーとしては素直に喜びたいところだ。
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