ProLogium Technologyが世界初となる100%シリコン複合アノードを採用した次世代バッテリーを発表。わずか5分の充電で300kmの走行を可能にし、既存のリチウムイオン電池を大きく上回るエネルギー密度を実現。2027年からの量産を予定している。
革新的な性能を実現する新技術
ProLogiumが開発した100%シリコン複合アノードバッテリーは、エネルギー密度と充電性能の両面で従来技術の限界を突破したものだ。TÜV Rheinlandの認証によると、体積あたりのエネルギー密度で749Wh/L、重量あたりで321Wh/kgを達成した。これは現在主流のリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの200Wh/kg未満、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーの200-300Wh/kgと比較して大幅な性能向上を実現している。同社の主任研究員であるDmitry Belov博士は「2023年以来、エネルギー密度と急速充電性能の両面で、競合他社との差を着実に広げている」と述べている。
さらに注目すべき点は、継続的な技術革新による性能向上の見通しだ。同社は2024年末までにエネルギー密度をさらに向上させ、体積エネルギー密度を823Wh/L、重量エネルギー密度を355Wh/kgまで引き上げることを予測している。これは既存のリチウムイオンバッテリーと比較して最大77%の性能向上を意味する。
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充電性能においても画期的な進展を見せている。TÜV Rheinlandの試験データによると、バッテリー残量5%から60%までわずか5分、80%まで8.5分での充電を実現。これは業界平均の30分という充電時間と比較して、劇的な時間短縮を達成している。この超急速充電能力により、充電待ち時間の大幅な削減が可能となり、充電ステーション不足という課題の解決にも貢献する。
このバッテリー技術の革新性は単なる性能向上にとどまらない。モジュール式の設計を採用することで、従来のバッテリーパック全体の交換が必要だった修理方式から、個別のセル交換が可能となった。これにより、修理やメンテナンスの効率が大幅に向上し、バッテリーの長期利用や持続可能性の観点からも大きな進展をもたらしている。このように、ProLogiumのバッテリー技術は、高エネルギー密度、急速充電、実用性を高次元で統合することに成功している。
「Small Battery, Big Future」コンセプトがもたらす変革
同社が提唱する「Small Battery, Big Future」コンセプトは、高性能と経済性を両立させる。従来の83kWhから55kWhへとバッテリー容量を34%削減しながらも、車両重量を300kg軽量化。これにより、エネルギー効率と走行距離の向上を実現している。
さらに、モジュール式設計により、修理やセルのリサイクルが容易になり、メンテナンスコストの削減と中古EVの転売価値向上にも貢献。これらの特長は、EVの総所有コスト(TCO)の低減に直接的に寄与する。
ProLogiumは2006年の設立以来、世界の自動車メーカーに約8,000個のサンプルセルを提供。ドイツのFEVグループと提携し、2027年からの量産開始を予定している。フランスのダンケルクに建設予定のギガファクトリーでは、2024年後半または2025年初頭から建設を開始する計画だ。
![2024 PMS 5](https://xenospectrum.com/wp-content/uploads/2024/11/2024_PMS-5-1024x768.jpg)
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