Google元CEOのEric Schmidt氏が、AIビデオ生成とソーシャルメディアを組み合わせた新たなスタートアップ「Hooglee(フーグリー)」の立ち上げに密かに取り組んでいることが明らかになった。同社は「AIとビデオの力で人々のつながり方を変える」ことを掲げ、TikTokの代替となることを視野に入れている。
Schmidt氏の新たな挑戦
Hooglee は、Schmidt氏の家族オフィスであるHillspireが資金提供と事務所スペースを提供する形で始動した。同社のWebサイトは現時点で1ページのランディングページに限定されており、「人々を結びつけ、コミュニケーションを簡素化し、エンゲージメントを高める革新的なソリューションを創造する」というミッションを掲げている。
注目すべきは、同社の指揮を執るのがSchmidt氏の長年のパートナーであるSebastian Thrun氏だという点だ。Thrun氏はGoogleのX部門(現Alphabet X)の共同創設者で、自動運転車企業Waymoの立ち上げにも関わった人物である。また、Schmidt氏の軍事関連スタートアップProject Eagleの運営も手掛けており、両者の関係は深い。
強力な開発チームの編成
Hoogleeの開発チームは、シリコンバレーの一流人材を結集する形で着々と陣容を固めつつある。中核となるのは、テキストベースのビデオ生成技術の開発に実績を持つBichen Wu氏だ。Wu氏は自身が創業したビデオ生成系スタートアップでの経験を買われ、昨年10月に自身のチームごとHoogleeに合流している。
注目すべきは、Metaで最先端のAI研究に従事していた研究者たちの参画だ。これらの研究者たちは、大規模言語モデルやコンピュータビジョンの分野で豊富な実務経験を持つ。Metaでの経験は、特にAIを活用したソーシャルメディアプラットフォームの開発において、貴重な知見となることが期待される。
さらに興味深いのは、開発チームの構成がSchmidt氏の過去のプロジェクトとも密接に関連している点である。Sebastian Thrun氏の指揮の下、かつてGoogle Xやドローン関連のProject Eagleで実績を上げたエンジニアたちも加わっており、革新的なプロジェクトの遂行に必要な経験値の高いチーム編成となっている。
このような多彩な経歴を持つ専門家たちの結集は、HoogleeがAIビデオ生成とソーシャルメディアの融合という野心的な目標に真摯に取り組んでいることを示している。特に、MetaやGoogleといった大手テクノロジー企業での経験を持つメンバーが揃っていることは、プラットフォームの大規模展開を見据えた戦略的な人材採用と見ることができる。
これらの人材はそれぞれが、AI技術の研究開発から製品化、さらにはプラットフォームの運営に至るまでの幅広い経験を持ち合わせており、Hoogleeが目指す「AIとビデオの力で人々のつながり方を変える」というミッションの実現に向けた強固な基盤となっている。
競合がひしめく中で勝算は
Hoogleeは、すでにRunway、OpenAI、ByteDance(TikTokの親会社)といった強力なプレーヤーが存在する市場に参入することになる。ByteDanceは昨年、中国で「Jimeng AI」というAIビデオ生成アプリを立ち上げており、Meta、Google、Adobeも最近になってAIビデオ作成ツールを導入している。
Hoogleeの具体的な製品詳細はまだ明らかになっていないものの、商標出願からはAIビデオ生成ソフトウェアとソーシャルメディアプラットフォームの開発が計画されていることが窺える。世界で最も人気のあるソーシャルプラットフォームの一つであるTikTokとどのように競争していくのか、その戦略に注目が集まる。
また、興味深いのは「Hooglee」という社名の選択だ。キーボード配列上でHはGの隣にあり、末尾にeを追加することでGoogleに似た音韻となる。この類似性については、すでに法的な問題に発展する可能性も指摘されている。
加えて、Schmidt氏は人工知能の可能性に対して熱心な一方で、そのリスクについても警鐘を鳴らしている。「AIは核兵器のように破壊的になり得る」と述べた過去の発言もある中、今回のプロジェクトでは、AIビデオ生成の民主化とソーシャルプラットフォームの融合という新たな挑戦に取り組むことになる。
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