次期iPad Airシリーズの詳細情報が新たにリークされ、当初噂されていたM4チップではなく、M3チップを搭載する可能性が高まってきた。信頼度の高い情報をもたらすリーカーとして知られるEvan Blass氏が、新型iPad Airに関する内部情報とされるコードを公開。同製品がM3チップを採用することで、最上位機種iPad Proとのパフォーマンスギャップを明確に維持する戦略が浮き彫りとなった。
リーク情報の詳細と信憑性
新情報によると、次期iPad Airは11インチと13インチの2モデルでラインナップされ、現行モデルのM2チップからM3チップへのアップグレードが予定されているという。Evan Blass氏は過去にもApple Vision Proの発表など、数々の正確なリーク情報を提供してきた実績を持つ。今回公開された情報にはiPad Air 13″(M3)という記述が含まれており、具体的な製品仕様を示唆している。
この情報は、先週Bloombergが報じた「iPad AirがM2からM4に直接アップグレードされる可能性」という報道と異なる内容となっている。ハードウェアの進化を重視するAppleだが、製品ラインナップ間の明確な差別化も同社の重要な戦略の一つであり、「AirとPro」における差別化は処理速度という部分でも明確な線引きがなされるようだ。
この判断の背景には、複数の戦略的要因が存在する。まず、最新のiPad Pro(OLED)の販売が期待を下回っているとされる状況がある。LG Displayが iPad Pro向けOLEDディスプレイの生産ラインの一部をiPhone向けに転用しているという報道もあり、高級モデルの販売不振が示唆されている。
さらに、TSMCの3nmプロセス(N3B)を使用するM4チップの歩留まりの課題も指摘されている。iPad AirにM3チップを採用することで、iPad Proとの製品差別化を維持しつつ、製造上のリスクも軽減できる計算だ。
なお、Blass氏によってリークされた情報からは、Appleの低価格スマートフォンが「iPhone SE 4」と呼ばれる可能性があることも示唆されている。
さらに、ここではiPad 11(未発表)について触れられており、Appleが新型M3 iPad Airと iPhone SE 4 と同時に発売する可能性があることを示す物とも言えるだろう。
Xenospectrum’s Take
今回のリークは、Appleのタブレット戦略における現実主義的なアプローチを示唆している。確かにM4チップを搭載すれば「より強力な」iPad Airが実現できるが、それは必ずしも賢明な選択とは限らない。特にOLED iPad Proの販売が振るわない現状では、製品ラインナップ間の境界を曖昧にするような判断は避けるべきだろう。
また見落としてはならないのが、半導体製造プロセスの現実だ。TSMCの3nmプロセスはまだ完全な成熟段階には至っていない。量産効率とコストの観点から、M3チップの採用は理にかなっている。結果として、「良すぎない」iPad Airこそが、Appleの製品戦略において最適解となる可能性が高い。
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