AMDの次世代グラフィックボード「Radeon RX 9000シリーズ」の発売時期が2025年3月になることが明らかになった。当初CES 2025での発表が予定されていたRDNA 4アーキテクチャベースの新製品は、最終段階での調整が必要となり、発売時期が数ヶ月後ろ倒しとなった形だ。
当初の予定よりも発売が延期された可能性
AMDのDavid McAfee副社長は、Xを通じて「Radeon 9000シリーズのハードウェアとソフトウェアは素晴らしい状態にあり、グローバルで幅広い製品をご用意できる見込みです。3月の発売時にゲーマーの皆様に実機をお届けできることを楽しみにしています」とコメントを発表した。
当初、AMDはCES 2025において、Radeon RX 9070 XTとRX 9070の詳細な仕様と価格を発表する予定だった。実際、報道関係者向けのプレスキットには製品情報が含まれていたにもかかわらず、45分という発表時間の制約を理由に、GPU関連の発表が見送られる結果となった。
RDNA 4アーキテクチャの新機能と期待される性能
新製品は、TSMCの4nmプロセスで製造される最新のRDNA 4アーキテクチャを採用。主な特徴として:
- 第2世代AIアクセラレーター
- 第3世代レイトレーシングアクセラレーター
- 第2世代Radiance Displayエンジン
- 機械学習ベースの新世代FSR 4(FidelityFX Super Resolution)
噂されている仕様によると、RX 9070 XTは4,096コア、64CU、16GBのVRAMを搭載。一方RX 9070は3,584コア、56CU、同じく16GBのVRAMを備え、両モデルとも256ビットインターフェースとGDDR6メモリを採用するとされている。
NVIDIAはRTX 5090とRTX 5080を1月30日に、RTX 5070 TiとRTX 5070を2月に発売予定であり、AMDの3月発売は競合製品の市場投入から1ヶ月以上遅れることになる。特にRTX 5070は549ドルという価格設定で、RTX 4090相当の性能を謳っており、AMDにとって価格戦略の再考が必要な状況となっている。
Xenospectrum’s Take
今回の発売延期は、表面的には時間的制約という説明がなされているが、実際にはより戦略的な判断が働いていると考えられる。すでに一部の小売店に在庫が確保され、レビュアーにもドライバーなしの状態でサンプルが配布されているという情報は、当初の発売準備がかなり進んでいた証左だ。
NVIDIAのRTX 5070/Ti発売を待って価格戦略を練り直すというのが現実的なシナリオだろう。ただし、これはAMDにとって諸刃の剣となる可能性が高い。確かにNVIDIAの価格と性能を見極めた上での製品投入は理にかなっているが、その間にRTX 5000シリーズが市場を席巻してしまえば、後発の意味が薄れてしまう。
さらに興味深いのは、3月という時期がAMDの新型CPU「Ryzen 9000X3D」の発売時期と重なる点だ。これはCPUとGPUのバンドル戦略を示唆している可能性があり、純粋なGPU性能だけでなく、プラットフォーム全体としての付加価値を訴求する戦略転換が図られているのかもしれない。
結果として、この延期がAMDにとって賢明な判断だったのか否かは、最終的な製品の性能と価格設定、そしてなにより市場の反応にかかっている。ただ一つ確実なのは、2025年春のGPU市場が、かつてない熱い戦いの場となることだ。
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