Samsungは、次世代フラッグシップスマートフォン「Galaxy S25」シリーズを発表した。カスタマイズされたQualcommの「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」チップセットを搭載し、大幅に強化されたAI機能を特徴とする。同シリーズは、Galaxy S25 Ultra、Galaxy S25+、Galaxy S25の3モデルで構成され、2月7日より出荷を開始する。なお、日本国内での発売は従来よりも早く、グローバル展開から1週間後の2月14日からとなる。
革新的なチップセットと性能向上

Samsungは Qualcomm と共同開発した「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」チップセットを採用。前世代比でNPUが40%、CPU が37%、GPUが30%の性能向上を実現した。

冷却システムも一新され、40%大型化されたヴェイパーチャンバーと、カスタマイズされた熱インターフェース材料(TIM)により、AI処理やゲーミングなどの高負荷時でも安定した性能を維持できる設計となっている。
強化されたハードウェア仕様
Galaxy S25シリーズのそれぞれの仕様詳細は以下の通りだ。
Galaxy S25 Ultra
項目 | Galaxy S25 Ultra |
---|---|
ディスプレイ | 6.9インチ QHD+ Dynamic AMOLED 2Xディスプレイ リフレッシュレート120Hz(1~120Hz) ビジョンブースター 適応型カラー調整 |
寸法・重量 | 77.6 x 162.8 x 8.2mm, 218g |
カメラ(背面) | 50MP 超広角カメラ (F1.9, FOV 120°) 200MP 広角カメラ (OIS F1.7, FOV 85°) 50MP 望遠カメラ (5倍光学ズーム, OIS F3.4, FOV 22°) 10MP 望遠カメラ (3倍光学ズーム, OIS F2.4, FOV 36°) |
カメラ(前面) | 12MP フロントカメラ (F2.2, FOV 80°) |
メモリ & ストレージ | 12GB + 1TB 12GB + 512GB 12GB + 256GB |
バッテリー | 5,000mAh |
充電 | 有線充電:45Wアダプターで約30分で65%充電* 高速ワイヤレス充電2.0対応** Wireless PowerShare対応** |
OS | Android 15, One UI 7 |
ネットワーク & 接続 | 5G*, LTE, Wi-Fi 7, Bluetooth® v5.4 |
防水性能 | IP68(最大1.5メートル、30分間の真水への耐水性) |
ハードウェア面での進化点と言えば、新たな5,000万画素の広角レンズ、QualcommのSnapdragon 8 Eliteチップの搭載が大きな所だろうか。Samsungはソフトウェア由来のズーム画像の細部が改善された。
搭載RAMについては一部の市場では16GBも用意されるようだ。
残念なことにS24 Ultraと異なり、Sペンには今回Bluetoothが搭載されていないため、スクリーンの外でペンを使ってハンドジェスチャーをしたり、風変わりなリモートカメラトリガーとして使用したりすることはできない。
Galaxy S25 Ultraのカラーバリエーション




Galaxy S25/S25+
Galaxy S25 | Galaxy S25+ | |
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ディスプレイ | 6.2インチ FHD+ | 6.7インチ QHD+ |
画面仕様 | Dynamic AMOLED 2Xディスプレイリフレッシュレート120Hz(1~120Hz)ビジョンブースター適応型カラー調整 | 同左 |
寸法・重量 | 70.5 x 146.9 x 7.2mm, 162g (mmWave/Sub6) | 75.8 x 158.4 x 7.3mm, 190g (mmWave/Sub6) |
カメラ(背面) | 12MP超広角カメラ (F2.2, FOV 120°)50MP広角カメラ (OIS F1.8, FOV 85°)10MP望遠カメラ (3倍光学ズーム, F2.4, FOV 36°) | 同左 |
カメラ(前面) | 12MPフロントカメラ (F2.2, FOV 80°) | 同左 |
メモリ & ストレージ | 12GB + 512GB12GB + 256GB12GB + 128GB | 12GB + 512GB12GB + 256GB |
バッテリー | 4,000 mAh | 4,900 mAh |
充電 | 有線充電:25Wアダプターで約30分で50%充電 高速ワイヤレス充電2.0対応Wireless PowerShare対応 | 有線充電:45Wアダプターで約30分で65%充電 高速ワイヤレス充電2.0対応Wireless PowerShare対応 |
OS | Android 15, One UI 7 | 同左 |
ネットワーク & 接続 | 5G, LTE, Wi-Fi 7, Bluetooth® v5.4 | 同左 |
防水性能 | IP68(最大1.5メートル、30分間の真水への耐水性) | 同左 |
Galaxy S25のカラーバリエーション



Galaxy S25+のカラーバリエーション




Galaxy S25シリーズはQi2に対応する事が明らかになったが、デバイス本体には磁石が搭載されていないため、安定した15Wでのワイヤレス充電を可能にするためには専用のアクセサリが必要となる。
包括的なAI機能の実装
Samsungは「Galaxy AI」という包括的なAIプラットフォームを導入し、スマートフォンとの対話方法を根本的に変革することを目指している。同社のMobile eXperience部門のトップであるTM Roh氏は、「最大のイノベーションはユーザーを反映したものでなければならない」と述べ、より自然で効率的なデバイスとの対話を実現するためにGalaxy AIを進化させたことを強調している。
マルチモーダルAIによる直感的な操作体験
Galaxy S25シリーズに搭載されたマルチモーダルAIは、テキスト、音声、画像、動画を統合的に理解し、解釈する能力を持つ。これにより、ユーザーの意図をより正確に理解し、状況に応じた適切な応答や行動を提供することが可能となった。

例えば、Now Briefと呼ばれる機能では、時間帯や場所、ユーザーの行動パターンに基づいて最適な情報を提供する。朝には今日の予定とニュース、昼には会議の要約や重要なメール、夕方には帰宅経路の交通情報といった具合に、コンテキストに応じた情報提供を行う。これらの情報はロック画面のNow Barからすぐにアクセス可能で、スマートフォンのロックを解除することなく必要な情報を確認できる。

コミュニケーションの質を高めるAI機能
通話機能においては、Call Transcriptが注目に値する。この機能は通話内容をリアルタイムで文字起こしするだけでなく、会話の要点を自動的に抽出して要約を作成する。これにより、重要な通話内容を後から振り返ることが容易になり、ビジネスシーンでの活用が期待される。

Writing Assistは文章作成のプロセスを根本的に変える可能性を秘めている。アプリケーションを切り替えることなく、選択したテキストの要約や形式の調整が可能となった。この機能は単なる文章校正ツールではなく、ユーザーの文章作成意図を理解し、より効果的な表現方法を提案する知的なアシスタントとして機能する。
創造性を拡張するAIツール
Drawing Assistは、アイデアを視覚化する新しい方法を提供する。スケッチ、テキスト、画像プロンプトを組み合わせることで、ユーザーの創造性を拡張する。例えば、ラフなスケッチをAIが理解し、それを洗練された描画に変換したり、テキストの説明に基づいて視覚的な要素を追加したりすることが可能となった。

音声編集においては、Audio Eraserが革新的な機能を提供する。この機能は動画内の音声を種類別に分類し、不要な音声要素を選択的に除去することができる。人の声、音楽、風切り音、自然音、群衆音、一般的なノイズといった異なる種類の音を個別にコントロールすることで、よりプロフェッショナルな音声編集が可能となった。
プライバシーとセキュリティの強化
AIの実装において、Samsungはプライバシーとセキュリティを最重要課題として位置付けている。Personal Data Engineは、ユーザーのデータをデバイス上で安全に分析し、個別化された体験を提供する。このプロセスはKnox Vaultによって保護され、個人情報が外部に漏洩するリスクを最小限に抑えている。
さらに、将来的な量子コンピュータによる暗号解読の脅威に備え、ポスト量子暗号化技術を導入。これはGalaxy S25シリーズが長期的な使用を見据えた設計思想を持つことを示している。
処理性能の最適化
これらのAI機能を支えるのが、Qualcommと共同開発したSnapdragon 8 Elite for Galaxyチップセットだ。NPUの40%性能向上により、従来はクラウドで処理していたAIタスクの一部をデバイス上で実行することが可能となった。また、40%大型化された蒸気チャンバーと最適化された熱設計により、持続的な高負荷処理にも対応できる。
特筆すべきは、ProScalerと呼ばれる画像処理技術で、従来比40%の品質向上を実現。これにより、AI処理を必要とする画像編集やビジュアル処理においても、より高品質な結果を得ることが可能となった。
サステナビリティとサポート体制
Samsungは Galaxy S25シリーズにおいて、環境負荷の低減と長期的なデバイスサポートを重要な戦略として位置づけている。特に注目すべきは、バッテリーに使用されるコバルトの調達方法だ。Galaxy S25は、Samsungのスマートフォンとして初めて、過去のGalaxyデバイスや製造工程で廃棄されたバッテリーから回収されたリサイクルコバルトを使用している。全モデルで、バッテリーに使用されるコバルトの50%以上がリサイクル材となっている。
材料面での環境配慮は、バッテリーにとどまらない。Galaxy S25+とS25では、外装部品のすべてに少なくとも1つ以上のリサイクル材料を採用。さらに、金属フレームには初めてリサイクルアルミニウムを使用することで、製造過程における環境負荷の低減を実現している。
デバイスの長期使用を促進する取り組みとして、Samsungは画期的なソフトウェアサポート体制を導入した。発売日から7年間のOSアップグレードと7年間のセキュリティアップデートを保証することで、ユーザーは2031年まで最新のソフトウェア機能とセキュリティ保護を享受できる。これはスマートフォン業界では最長レベルのサポート期間であり、デバイスの長期使用を促進することで、電子廃棄物の削減にも貢献する。
さらに、Galaxy S25シリーズの購入者には、充実した追加サービスが提供される。Google との提携により、6ヶ月間のGemini Advanced サービスと2TBのクラウドストレージが無償で提供される。これにより、ユーザーは高度なAI機能やクラウドストレージを十分に活用できる環境が整備される。
デバイスの保護という観点では、Samsung Care+による包括的な保証サービスを提供。事故による損傷、修理、交換に対する保証を提供することで、ユーザーに安心感を与えている。さらに、新しく導入されるGalaxy Clubは、最新のテクノロジーを常に利用したいユーザーのために、より柔軟なデバイスのアップグレードオプションを提供する予定だ。具体的な地域での展開details と利用可能時期については、後日発表される予定となっている。
このように、SamsungはGalaxy S25シリーズを通じて、環境への配慮、長期的なソフトウェアサポート、充実した付加サービスを組み合わせることで、持続可能な製品ライフサイクルの実現を目指している。これは、単なる環境配慮にとどまらず、ユーザーエクスペリエンスの向上とデバイスの長期的な価値維持を両立させる取り組みとして評価できる。
価格と発売時期
本日の発表では、グローバルでの展開と共に日本での発売スケジュールも発表された。
日本での予約開始は、Samsung公式オンラインショップで1月31日(金)9時から予約受付が開始され、2月14日から発売開始となる。公式オンラインショップでの予約では、Galaxy S25 UltraではGalaxy Buds 3が特典としてもらえるキャンペーンも実施中だ。
価格については、最上位モデルとなるGalaxy S25 Ultraは、256GBストレージモデルを起点として1,299.99ドルからの価格設定となっている。中位モデルのGalaxy S25+は1,019.99ドルから、エントリーモデルとなるGalaxy S25は799.99ドルからの価格となる。
日本での価格は、それぞれ以下の通りだ:
- Galaxy S25 Ultra
- 256GB:199,800円
- 512GB:217,800円
- 1TB:253,800円
- Galaxy S25
- 256GB:129,000円
- 512GB:147,000円
カラーバリエーションは、モデルによって異なるラインナップを用意。Galaxy S25 Ultraは高級感のあるチタニウム素材を活かした4色展開で、Titanium Silverblue、Titanium Black、Titanium Whitesilver、Titanium Grayをラインナップしている。一方、Galaxy S25とGalaxy S25+は、Navy、Silver Shadow、Icyblue、Mintの4色展開となっている。
出荷開始は2月7日を予定しており、主要な通信キャリアやSamsungの直販チャネルを通じて販売される。予約特典として、全モデルに6ヶ月間のGemini Advancedサービスと2TBのクラウドストレージが付属する。これにより、購入後すぐに高度なAI機能とクラウドサービスを活用できる環境が整えられている。
なお、Samsungは新しい購入オプションとしてGalaxy Clubと呼ばれる柔軟なサブスクリプションモデルの導入も予定しているが、具体的な提供地域や開始時期については後日発表される予定となっている。このサービスは、最新のテクノロジーを常に利用したいユーザーのために、より便利なデバイスのアップグレード手段を提供することを目指している。
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