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スマートウォッチ市場、2024年に初のマイナス成長を記録 — Appleが大幅後退、中国勢が台頭

2025年3月12日

2024年、世界のスマートウォッチ市場は製品カテゴリ誕生以来初めて前年比7%の減少を記録した。市場首位のAppleが出荷台数を19%減らす一方、HuaweiやXiaomiなど中国メーカーが急成長し、地域別でも中国が北米を抜いて初めて最大市場となったとのことだ。

主要メーカーの明暗:Appleの低迷と中国勢の躍進

市場調査会社Counterpointの最新レポートによると、2024年の世界スマートウォッチ出荷台数は前年比7%減少した。ブランド別シェアでは、Appleが22%で首位を維持したものの、出荷台数は前年比19%減と大きく後退した。

2位のHuaweiは35%成長で市場シェア13%を獲得。3位のSamsungは3%成長で9%のシェアを確保した。最も目立つのは4位のXiaomiで、前年比135%という爆発的な成長を遂げ、8%のシェアで初めてグローバルトップ5入りを果たした。5位にはImooが6%のシェアでランクイン。その他のブランドが残りの42%を占めている。

Appleの低迷要因:機能不足と特許紛争

Appleの大幅な減少は、Apple Watchが10周年を迎えた記念すべき年としては厳しい結果となった。Counterpointのシニアリサーチアナリスト、Anshika Jain氏は「Apple Watchは10周年にもかかわらず勢いを失った。特に北米市場では、Apple Watch Ultra 3の不在とSeries 10での限定的な機能アップグレードにより、消費者が購入を控えた」と分析している。

さらに影響したのが特許紛争だ。医療技術企業のAliveCor及びMasimoとの法的争いにより、2024年前半の出荷に制限がかかった。特にMasimoとの紛争では、特定の心電図(ECG)機能を含むApple Watchの米国での輸入が一時禁止された。

加えて、Apple Watch SEラインナップの不振と2022年以来の新モデル不在も低迷要因となった。特にiPhone 16eの市場投入後、SE(Special Edition)ブランド自体の将来も不透明な状況となっている。

SamsungとXiaomiの成長戦略

低迷するAppleとは対照的に、Samsungは新モデルのGalaxy Watch 7、Galaxy Watch Ultra、Galaxy Watch FEシリーズの好調な販売により3%の成長を記録した。同社はGoogleと協力して子供向け機能も強化している。

より印象的なのはXiaomiの躍進である。同社は前年比135%という劇的な成長を遂げ、Watch S1シリーズとRedmi Watchシリーズが特に好調だった。Xiaomiは2023年からGoogleのスマートウォッチ向けOS「Wear OS」をより広く採用しており、これが成功要因の一つとなっている。

地域別動向:中国が北米とインドを抜いて首位に

2024年は地域シェアにも大きな変化があった。中国が初めて世界最大のスマートウォッチ市場となり、全体の25%を占めるに至った。これは北米(22%)とインド(23%)を上回る数字である。

Jain氏は「中国はHuawei、Imoo、Xiaomiがけん引役となり、過去最高の出荷台数を記録した。基本モデルから高機能モデル、子供向けモデルまで多様な製品展開と、中国消費者のこれらブランドへの傾倒が全体的な普及を促進した」と説明している。

北米市場は前述のApple Watchの不振が大きく影響し、インド市場は基本的なスマートウォッチの買い替えサイクルの長期化、革新不足、初回購入者の不満足な体験が需要減少につながった。欧州市場は全体の15%を占め、比較的安定した動きを見せている。

成長する子供向け市場:親の安全意識が追い風に

製品カテゴリ別に見ると、子供向けスマートウォッチのみが2024年に成長を記録した点が注目される。Counterpointのリサーチアナリスト、Balbir Singh氏は「子供の安全を心配する親が、位置追跡や常時連絡のために子供向けスマートウォッチを求める傾向が強まっている」と述べている。

このセグメントではImooが市場リーダーとして、手頃な価格で機能豊富な製品を提供している。基本的なスマートウォッチの需要が減少する中、Noise、boAt、GoogleのFitbitなど他のブランドも子供向け製品ラインを拡充し始めた。

Samsungも2024年初頭にWatch FEのキッズモードと、40mmのWatch 4以降のモデル向けにGalaxy Watch Kids Bandを25ドルで発売するなど、この成長市場への対応を強化している。

2025年の展望:AI機能と高度健康センサーが回復のカギに

Counterpointのアソシエイトディレクター、David Naranjo氏は「スマートウォッチ市場は徐々に回復し、2025年には1桁台の成長率を記録すると予想される」と見通しを示している。

回復の原動力となるのは、AIの統合と高度な健康センサーの導入だ。AndroidとiOSの両プラットフォームで、AI機能により健康データをより深く分析できるようになると期待されている。

特に注目されるのは、心房細動、睡眠時無呼吸症、高血圧、糖尿病などの深刻な健康問題を監視するセンサーだ。各ブランドは新モデルの規制承認取得と新健康機能の搭載に注力するとみられる。

また、子供向けスマートウォッチセグメントの成長も継続する見込みで、親の安全意識の高まりを背景に、より多くのブランドがこのカテゴリーに参入すると予想されている。


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