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Google、無料ユーザーにもGemini Deep Researchを解放—検索履歴連携や高度AI機能も拡充

2025年3月14日

Googleは、これまでGemini Advanced(有料版)のみで提供していたDeep Research機能を無料ユーザーにも開放すると発表した。同時に、検索履歴と連携して回答をパーソナライズする新機能や、カスタムAIアシスタント「Gems」の無料提供など、複数の新機能追加も発表された。

Deep Research機能が全ユーザーに開放

Deep Researchは、Geminiが複数の信頼できるWebサイトを検索して総合的な調査レポートを作成する機能で、昨年末にWeb版Geminiに導入された。当初はGemini Advanced(有料版)限定だったが、今回の発表により無料版ユーザーも利用可能になる。

無料ユーザーは月に「数回」(一部情報によれば5回程度)の利用に制限されるが、有料ユーザーはより広範なアクセスが可能。この機能は45以上の言語で提供され、プロンプトバーまたはモデルドロップダウンから「Deep Research」を選択することで利用できる。

Googleによれば、Deep ResearchはGemini 2.0 Flash Thinking Experimentalモデルにアップグレードされ、「計画、検索、推論、分析、レポート作成など、すべての研究段階でGeminiの能力を向上させる」という。これにより、より詳細で洞察力のあるマルチページレポートが生成可能になる。また、Web検索中の思考プロセスをリアルタイムで表示する機能も追加された。

Gemini 2.0 Flash Thinking Experimentalモデルの強化

今回のアップデートでは、Gemini 2.0 Flash Thinking Experimentalモデル自体も強化された。このモデルは、プロンプトを一連のステップに分解して推論能力を高めるよう訓練されているのが特徴だ。

新バージョンでは、ファイルアップロード機能のサポートが追加され、効率性と応答速度が向上した。さらに、Gemini Advancedユーザー(有料)には100万トークンのコンテキストウィンドウが提供され、より大量の情報を分析して複雑な問題を解決できるようになった。

Flash Thinkingの特徴は、AIモデルの思考プロセスと推論を可視化する点にある。これにより、AIが質問にどのように答えに至ったかを利用者が理解しやすくなる。

検索履歴と連携する「パーソナライゼーション」機能

Googleは「Personalization(パーソナライゼーション)」と呼ばれる新しい実験的機能も発表した。この機能は前述のGemini 2.0 Flash Thinking Experimentalモデルによって駆動され、ユーザーのGoogle検索履歴を参照してパーソナライズされた回答を提供する。

例えば、レストランの推薦を求めると、Geminiは過去の食事関連の検索を参照し、旅行アドバイスを求めると以前検索した旅行先に基づいて回答する。

重要なのは、この機能はユーザーが明示的に許可した場合のみ有効になる点だ。Web版Geminiでは、モデルドロップダウンから「Personalization(experimental)」を選択することで有効化できる。モバイル版では段階的に展開中で、40以上の言語で「大多数の」国で利用可能になる予定だ。

Googleによれば、将来的にはYouTubeやGoogle Photosなど他のサービスとの統合も予定されている。また、レスポンスを受け取る際には、Geminiが回答をどのように導き出したか、保存された情報や過去の会話、検索履歴を参照したかどうかの概要が表示される。

その他の追加機能:Gemsとアプリの統合拡充

今回のアップデートでは、「Gems」と呼ばれるカスタムAIアシスタント作成機能も無料ユーザー向けに提供される。これにより、全ユーザーが特定のトピックに特化した独自のAIエキスパートを作成できるようになる。

Gemsは、Geminiアプリの「Gems manager」から、あらかじめ用意されたテンプレートを使用するか、独自のカスタムGemsを作成できる。例えば、翻訳者、食事プランナー、数学コーチなどが作成可能で、カスタムGem作成時にはファイルをアップロードして参照情報を増やすこともできる。

さらに、Calendar、Note、Task、Photoなどの追加アプリとGeminiの統合も、Gemini 2.0 Flash Thinking Experimentalモデルで可能になる。これにより、「YouTubeで簡単なクッキーのレシピを調べて、材料をショッピングリストに追加し、近くの営業中の食料品店を探す」といった、複数のアプリにまたがる複雑なリクエストにも対応可能になる。

また、数週間以内にGoogle PhotoがGeminiと連携するアプリリストに追加される予定で、写真に基づいた支援を簡単に依頼できるようになる。例えば、最近の旅行の写真を見てGeminiに旅程を作成してもらったり、運転免許証の有効期限などの情報を確認したりすることが可能になる。

多くの機能の追加の背景

Googleが無料ユーザーに高度な機能を提供する動きは、AIチャットボット市場での競争激化を背景としたものだ。GoogleはGeminiをより多くの人に使ってもらうためのキャンペーンを続けており、さらに多くのAIコンピューティングを無料で提供している段階なのだろう。

だが、コンピューティングパワーを消費する最も高価なモデルを制限付きでも無料にすることで、Googleの損失は間違いなく増加するだろう。現時点では、生成AIでの収益化モデルは確立されていないが、Googleはマーケットシェアを確保するために多くの資金を投じることもいとわないようだ。

複数のリソースを参照して徹底的な調査結果を提供するDeep Researchや、検索履歴と連携したパーソナライゼーションは、GoogleのSearch事業とAI機能を組み合わせた差別化戦略とも見ることができる。多くのAI企業がチャットボットを立ち上げる中、Googleは検索という最大の競争優位性を活用してGeminiを際立たせているようだ。


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