Appleが開発中とされる折りたたみスマートフォン「iPhone Fold(仮称)」に、チタン合金の2.5倍の強度を持つ液体金属ヒンジが採用される可能性が高まっている。著名アナリストのMing-Chi Kuo氏やBloombergのMark Gurman氏など複数の信頼性の高い情報筋によると、この革新的な材料技術により、折りたたみ部分の耐久性向上と画面のしわ問題の解決が期待されている。
液体金属ヒンジが解決する折りたたみ画面の課題
液体金属(メタリックガラスまたはアモルファス金属とも呼ばれる)は、従来の金属とは全く異なる特性を持つ先進材料だ。通常の金属が規則的な結晶構造を持つのに対し、液体金属は原子がランダムに配置されているため、独特の機械的特性を示す。
中国のリーカーInstant Digital(Setsuna Digitalとしても知られる)の情報によると、この材料はチタン合金と比較して2.5倍の強度と硬度を持ち、圧力や曲げ、落下時の変形やへこみにも優れた耐性を示すという。さらに腐食にも強いため、様々な環境条件下でもヒンジ機構の長寿命化が期待できる。
外観については「高級ステンレススチール」に近い光沢を持ち、iPhone 14 Proモデルのフレームに似た質感になるとされている。製造方法については、Ming-Chi Kuo氏によると急速冷却技術を用いたダイカスト製法が採用され、中国のDongguan EonTecが独占的に供給するという。
Appleは2010年からiPhoneやiPadのSIMイジェクタピンなどの小さな部品に液体金属を使用してきた実績がある。しかし、iPhone Foldでは初めて主要部品に採用されることになる。
折りたたみスマートフォンの最大の技術的課題は、折り曲げ部分の画面にしわが生じ、それが使用とともに疲労して最終的に破損する可能性があることだ。液体金属ヒンジは画面の平坦性を向上させ、このしわを最小限に抑える役割を果たすと期待されている。
iPhone Fold予想仕様 – 7.8インチディスプレイと超薄型設計
これまでの情報では、iPhone Foldは7.8インチの内部ディスプレイと5.5インチの外部ディスプレイを搭載すると予想されている。これはiPad miniに近いサイズの内部ディスプレイを持つことを意味する。
デザインについては、SamsungのGalaxy Z FoldやGoogle Pixel Foldのような「ブックスタイル」を採用するとされる。つまり、Galaxy Z Flipのような縦折りではなく横開きタイプになる見込みだ。
カメラシステムについては、リア側にデュアルカメラ、フロント側に単一カメラを搭載するとの情報もある。認証システムに関しては、Face IDではなくiPad AirやiPad miniと同様にホームボタンにTouch IDを搭載する可能性が報じられている。
厚さについては、折りたたまない状態で約4.5mmとApple史上最も薄いデバイスになる可能性があり、折りたたむと約9.5mmになるとされる。この超薄型設計には、開発中とされる超薄型の「iPhone 17 Air」(5.5mm厚)と技術を共有する可能性も示唆されている。
2027年発売へ – 価格予想と市場への影響
BloombergのMark Gurman氏によると、iPhone Foldの大量生産は2026年第4四半期に開始され、2027年初めにiPhone 18ラインアップと共に発売される見込みだ。価格については約2,000ドル(約30万円)と予想されており、これまでで最も高価なiPhoneになる可能性が高い。初期は限定供給になるとの見方もある。
現在、折りたたみスマートフォン市場ではSamsungが最も耐久性の高い製品を提供しているとされる。特にGalaxy Z Fold 6のヒンジは優れた設計と高品質な材料により堅牢性が評価されている。初代iPhone FoldはSamsungのGalaxy Z Fold 8と直接競合することになり、Samsung製品と比較して少なくとも20%高い価格設定になるとの予測もある。
液体金属ヒンジ技術については、Appleが採用すれば他のAndroidメーカーも追随する可能性があるとMing-Chi Kuo氏は示唆している。これにより、折りたたみスマートフォン市場全体の耐久性と品質向上が期待される。
「iPhone Fold」の成功には、ソフトウェアの完成度が重要な要素になるだろう。Appleがどのようにソフトウェアを最適化するかは現時点では不明だが、同社の徹底した品質へのこだわりから、完成度の高い製品を投入すると予想される。
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